十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。
第四話 ~体育館へ向かう途中でいろいろな話をしました~
第四話 ~体育館へ向かう途中でいろいろな話をしました~
第四話
「さて。これから最初のSHRを始める。この場では入学式の説明をする。良く聞くように。君たちの自己紹介は入学式が終わってから行う。この場では私の自己紹介のみとする」
初老の先生はそう言うと、黒板に名前を書いた。
『
「私の名前は根岸徹と言う。担当教科は数学だ。授業では主に『真面目に授業に参加していない生徒』を問題回答に指名することにしている」
その言葉に俺たちはゴクリとつばを飲み込んだ。
「なに、キチンと授業を聞いていれば『ある程度』の問題は回答出来るはずだ。予習と復習はしっかりとやることだ」
予習と復習かぁ。数学だけはしっかりとやっておこうかな。
「さて、それでは入学式の場所へ向かうとしよう。場所は体育館だ。だが、すまない。私はこの後職員室へ行く用事があってな。誰か体育館の場所を知っているものは居るか?」
その言葉に、北島さんの後ろの席の女の子が手を挙げた。
「はーい。私知ってます!!」
元気の良いショートカットが似合う可愛い女の子だった。
根岸先生は彼女を見て、首を縦に振った。
「では、みなは『
なるほど、彼女は桐崎雫さんって言うんだ。席も近いし、覚えておこう。
そう言って根岸先生は教室を出て行った。
「はーい!!じゃあ私が先導するからみんな着いてきてねー!!」
桐崎さんは席から立ち上がると、大きな声で皆に伝えた。
その声に、クラスのみんなはぞろぞろと立ち上がって教室の外へと向かう。
俺も席が隣なので北島さんと一緒に外に出る。
前の方へと歩いていくと、桐崎さんがこちらを向いて話しかけてきた。
「ねぇねぇ、二人とも!!なんであんなに仲が良い感じなの!?」
「……え?」
結構テンション高めに話しかけられて、俺はちょっと驚く。
「いやー根岸先生に話しかけられるまで気が付かないとか相当だよねー。何を話してるか?までは聞いてないけどさー」
「あはは。中学時代の話をしてただけだよ」
と、俺は彼女に言葉を返す。
それを聞いた桐崎さんはひとつ頷いて、次の興味は北島さんに移る。
「ねぇねぇ。あなたって北島永久さんだよね!?」
「は、はい。そうです……」
北島さんが首を縦に振ると、桐崎さんは悔しそうな顔をする。
「むぅーー!!絶対に首席で合格してやる!!って思ってたのに、二位だったんだよね。首席は北島永久さんって聞いてたから、どんな人かなって思ってたんだー」
「ふふふ。そうだったんですね」
お、俺の目の前には学年の首席と次席が居るのかよ……
なんて思っていると、
「……へぇ、私が首席だと思ってたけど三位だったのよ。この私が三位!!??なんて思ってたけど、あなたたちが上に居たのね」
「り、凛音……」
後ろから会話に参加して来たのは、不機嫌そうな顔をした凛音だった。
「おおー!!もしかしてあなたは有名な南野凛音さんだね!!ツインテールが似合う可愛い女の子が居るな!!って思ってたんだー」
「そういうあなたも有名よ。桐崎雫さん」
……いえ、有名なのはお兄さんかしら?
凜音の言葉に、桐崎さんの眉が少しだけ歪む。
「へぇ、おにぃのことを知ってるんだ?」
「それはもちろん。入学する学校のことは調べるに決まってるもの」
そんな会話を聞いた俺は、北島さんに耳打ちする。
「北島さんは何か知ってる?」
「……えぇと。どこまで真実かはわかりませんが、桐崎さんのお兄さんは生徒会長をしていて、その……あまり耳聞こえの良くないあだ名……いえ、二つ名が着いてまして……」
「入試の成績は二位で、お兄さんは二つ名が着くほどの人でしかも生徒会長。桐崎さんてすごい人だったんだね……」
そんな会話をしていると、体育館へと辿り着く。
「……霧都。後で話があるから、家に来なさい」
「……えぇ」
俺の後ろから、凛音が耳打ちをしてくる。
ぶっちゃけ……行きたくない……
前の日に振られた女の家に、次の日行くとかどんな拷問だよ……
でも、拒否権なんて無いんだよなぁ……
「はぁ、わかったよ」
俺がそう言うと、凛音は「ふんっ」と言ってその場を去って行った。
「桜井くん。私は新入生代表の挨拶があるのであちらに向かいますね」
と、北島さんが舞台の方を指さしていた。
「うん。わかったよ。頑張ってね!!」
「はい!!みんながアッと驚くような挨拶をしてきますね!!」
アッと驚く挨拶??
ちょっと意味深な発言を残して北島さんも去って行った。
「ねぇねぇ、桜井くん?」
「……えと、何かな桐崎さん?」
一人取り残された俺に、桐崎さんが話しかけてくる。
「…………あなたからはおにぃと同じ匂いがするよ」
「…………え?」
スっと目を細める、桐崎さん。
「一途なふりして色んな女の子を次々に堕としていく。ついた二つ名は『女たらしのハーレム王』。あなたはそうはならないでね?」
桐崎さんはそう言うと、パッと表情を明るくする。
「まぁ、同じクラスだし、席も近いからね、これからよろしくね!!」
そう言い残すと桐崎さんも俺の元を去って行った。
「…………な、なんかすげぇ疲れたな」
俺はそう呟くと、肩を落としながら新入生の集まる場所へと歩いて向かった。
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