十年間片思いしていた幼馴染に告白したら「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」と振られた俺が、昔イジメから助けた美少女にアプローチを受けてる。

味のないお茶

第一章 前編

プロローグ

 

「俺、お前のことがずっと好きだったんだ!!ただの幼馴染じゃなくて、お前と恋人同士になりたい!!だから俺と付き合ってくれ!!」


 中学三年の最後の春休み。


 俺、桜井霧都さくらいきりとは、十年間片思いしていた幼馴染の女の子、南野凛音みなみのりんねに告白した。


 明日から俺たちふたりは、同じ海皇かいおう高校に通うことが決まっている。


 家が隣同士で、幼稚園、小学校、中学校と同じ時を過ごしてきた。

 親同士の付き合いもあり、長期の休みの時には家族ぐるみで旅行にもいった。


 そうして過ごしてきた十年間。


 家族としてでは無く、恋人同士としての一歩を踏み出したい!!


 彼女に抱いた恋心がもう限界を迎えた俺は、明日から始まる高校生活をただの幼馴染としてでは無く、恋人同士として過ごしたいと切に願った。


 大丈夫だ!!凛音だって俺と同じ気持ちのはず!!


 こうして俺が彼女に告白してくるのを待ってたはずなんだ!!


 いつだって気持ちを伝えて、一歩を踏み出すのは男の役目!!


『私も霧都が好きだったの!!』


 って言ってくれるに違いない!!


 俺は確信を持って凜音の顔を見た。


「…………はぁ」


 …………え?


 そこには今まで見た事がないような、失望した凜音が居た。


 そして、彼女は言った。







「アンタを男として見たことなんか一度も無いから無理!!」







「……………………え」




 う、嘘だろ…………



「言いたいことはそれだけ?」


 フン!!と腕を組んで不機嫌そうな顔をする凜音。


「…………はい。そうです」


「そ、ならもうアンタと話すことは無いわね」


 そう言うと、凛音は隣の自宅へと戻って行った。




 かーかーかー……



 カラスが鳴いている。


 二人の自宅の前の道路で、俺は立ち尽くしていた。



 あ、明日からどんな顔すりゃいいんだよ…………



 完膚なきまでに振られた俺は、突きつけられた現実に頭を抱えた。

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