第30話休暇

いよいよ、パーシヴァル様の休暇の日がやってきた。そわそわが止まらない、王宮に滞在してくれるのだ。


 ミランダたってのお願いでジャンも一緒だ。



 お父様は、パーシヴァル様とジャンから戦局を聞き分析するのに忙しい。なので私も、勉強と称してお父様達と同じ部屋に入る。



 ミランダは残念ながら、追い出されたけど。


ミランダよ。日頃の行いがものを言うのだよ。ふふん。



 お父様と真剣な顔で話すパーシヴァル様が素敵過ぎて、目福の極みであります。



 ジャン、話を聞くに君もなかなか優秀なようだね。


感心関心。その調子でパーシヴァル様をサポートしなさい。二人とも日焼けした肌に良く映える儀礼用の白い軍服姿が素敵だ。



 王宮に上がるからと儀礼用の白い軍服を来て登城したのだ。今まで見ていた黒い軍服も素敵だったが、真っ白の軍服。萌えの極致。キラキラして眩いわ。



 戦功をあげた彼らは、昇進を果たし軍服に刻まれた金のラインが一本増えている。



 うーん。素敵。




 コンコン



 ミランダがお茶のワゴンを押して入ってきた。


侍女から、ワゴンをぶんどったに違いない。



「お父様。そろそろ休憩してお茶はいかが?」



 アフタヌーンスタンドには色とりどりのスイーツとフィンガーサンド、スコーンが並んでいる。


 スタンドを持ち上げようとして出来なかったミランダをジャンがすかさずサポートしている。スタンドを持ち上げ並べていた。


 ミランダよ。わざとだろう。



 自分の分のカップまで持ってくるなんて、用意周到だな。


 流れるような所作でパーシヴァル様が紅茶をサーブしていく。私にも紅茶を入れてくださった。


 パーシヴァル様の紅茶が飲めるなんて、ミランダよ、グッジョブ!


エスメラルダは最高に幸せです。



「パーシヴァル君は紅茶を淹れるのが上手だね。」


「軍仕込みです。上官にサーブしないといけませんので。」


 上官、うらやましすぎるぞ。


毎日、パーシヴァル様の紅茶が飲めるなんて。



「毎日こんなに美味しい紅茶が、飲めるなんて上官の方がうらやましいですわ。」


 万が一女王になったら権力を使って紅茶を入れて貰おうかしら。これぞ、権力濫用の極みってかんじだわ。いいわね。



「私付きの警護侍従になって、毎日紅茶をいれてくれないかい?」


 あら、お父様も?


冗談めかして言っているが、お父様の目は本気だ。


 身近に軍略を相談できる警護侍従が喉から手が出る程欲しいのだ。



「過分なお言葉ありがとうございます。しかし、私は将来どうしても手に入れたいものがあります。その為に戦功をあげねばなりません。」



 パーシヴァル様の真剣な瞳がお父様を射抜いた。お父様がパーシヴァル様の瞳を注意深く観察するように覗き込んだ。



「パーシヴァル戦功をあげよ。その暁には、望みのものを与えよう。しかし、君は君の持つ全てを投げ出し、君の手に入れたものを守り続ける覚悟はあるかい?」



「はい。もちろんです。」



お父様は、その日からパーシヴァル様を呼び捨てにするようになった。警護侍従を断られた事を怒っているのかしら?お父様に限ってあり得ないわね。



 あ、ミランダがジャンにクッキーを食べさせて貰っている。ジャン、デレてないか?


 ミランダは、可愛いもんな。滅多に見ない美少女に甘えられたらああなるわな。



 私はパーシヴァル様の紅茶を飲めるだけで充分幸せですわ。



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