97作目:愛言葉

 あなたなんて嫌い。いつもそう言って、手を繋いだ。彼は微笑んで握り返してくれた。大好きや愛してるの言葉よりも、想いが伝わる言葉だった。ただ、今は少しだけ違うニュアンスで、その言葉を伝える。

「あなたなんて、嫌い」

 いや、今も同じ気持ちかな。考えながら、言葉を残して立ち去る。彼の墓標に。

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