最終章-10【怪物vs怪物】
サイクロプスのミケランジェロが翳したウォーハンマーを全力で巨大モグラに振るった。
「ぜぇぁぁあああ!!」
両腕で振り上げたウォーハンマーを力強く巨大モグラの頭部に振り下ろした。だが、巨大モグラのロデムは顎をしゃくり上げると鼻先の鋼鉄ドリルでウォーハンマーの一撃を払い除ける。
ガギィィイイッと激しい音が鳴り響く。
その反撃でミケランジェロの巨漢が後方によろめいた。
体勢を戻したミケランジェロが腰を屈めながらロデムを睨み付ける。
「モグラの癖になかなかやるな!」
ゴリたちと一緒に建物の陰に隠れていたバイマンが言う。
「私のサラマンダーを踏み潰したのは、たまたまじゃあなかったんだ。ちゃんと狙って踏み潰したんだ!!」
ゴリが言う。
「あのモグラ、やるってことかい……」
オアイドスがオドオドと述べる。
「ミケランジェロさんがパワー負けしてるんだから、ただの巨大なモグラじゃあないんだよ!」
「わはっはっはっ。サイクロプスの力をもってしてもロデムには敵わんぞ!」
調子に乗ったダークネスマイナーが次の指示を出す。
「行けい、ロデム。あの糞生意気なサイクロプスをドリルで貫いてやれ!!」
ダークネスマイナーの命令に従い巨大モグラのロデムが鼻先のドリルを突き立てて突進して行く。
「なんのっ!!」
ミケランジェロがウォーハンマーでドリルを殴って突進を止めた。
「今度は上からのし掛かれ。踏み潰すんだ!!」
ダークネスマイナーの指示に従いミケランジェロの眼前でロデムが前足を高く上げて飛び掛かった。
「こなクソっ!!」
ミケランジェロはウォーハンマーを横に構えてロデムの身体を受け止める。横にしたウォーハンマーでロデムの顎を突き上げるが巨体を支えるのがやっとであった。
「ぐがががぁ……」
サイクロプスのパワーでもロデムの体重は重すぎる。おそらく数トンは有るだろう。ミケランジェロの両足が重量に負けて沈んでいく。
「ぬぬぬぬっ!!」
ミケランジェロは大股を開きながら重さを堪えていたが、ロデムの押し潰す力は半端ではない。このままでは上から押し潰されそうだ。
二体の魔物を見上げながらゴリが呟いた。
「不味いな、ミケランジェロが押し負けるぞ……」
そのようにゴリが呟いた刹那だった。
ゴォワァァアアア~~ン!!
「なんだっ!?」
魔王城の方角から釣り鐘でも叩いたかのような激音が轟いて来た。
ゴリたちが振り返り魔王城の方向を見てみれば、巨漢のクジラ人間が、背中から水面に倒れ込む瞬間だった。
ポセイドンアドベンチャーの胸元に埋るレッドヘルムが困惑している。
「馬鹿な、このポセイドンアドベンチャーが弾かれるだとっ!!」
クジラ巨人が倒れると水面を激しく揺らした。その衝撃で津波が起きて陸地に水が押し寄せる。津波はゴリたちの足元まで水を運んで来た。
「あっちはあっちで何が起きてるんだ!?」
ポセイドンアドベンチャーが立ち上がるとレッドヘルムが悔しそうに述べる。
「バリアーがあるとは聞いてないぞ!!」
再びポセイドンアドベンチャーが魔王城に迫る。クジラ巨人は拳を振りかぶり殴り掛かった。だが、ポセイドンアドベンチャーの振るった拳は見えない壁に弾かれる。すると再び釣り鐘を叩いたかのような音が鳴り響いた。
それを見ていたバイマンが述べた。
「城の中のマミーレイス婦人だ。彼女が魔王城にバリアーを張って守ってるんだ!」
「あんな巨人のパンチまで防げるのかよ……」
「流石は代々の魔王を支えてきた金庫番ですね~。マジで凄いわ~」
ゴリとオアイドスが感心していると、彼らが隠れている建物の壁にミケランジェロが倒れ込んで来た。
ミケランジェロは壁を半分倒しながら身体を支える。
ゴリがミケランジェロに言う。
「ミケランジェロ、そんなモグラ野郎はほおっておいていいぞ!!」
「何故だっ!?」
「マミーレイス婦人が魔王城にバリアーを張った。どうせモグラも近付けないぜ!」
「そんなの関係無い!!」
立ち上がったミケランジェロが肩を揺らしながらロデムに向かって歩き出す。
「城を守る守らないでは無いのだ。私があいつを倒すか倒さないかなのだ!!」
「おいおい、勝負がしたいだけかよ!?」
「巨人族の私が、モグラ風情に負けてられるか!!」
ウォーハンマーを振り回しながらミケランジェロがロデムに迫る。完全に当初の目的を忘れているのだろう。ミケランジェロは完全にロデムを倒すことを目的と化していた。
「うらぁぁあああ!!」
ウォーハンマーを振りかぶったミケランジェロがジャンプしながら飛び掛かると横から狙撃される。ミケランジェロの身体が爆発して通りの反対側に飛ばされた。三階建の建物を壊して倒れ込む。
「なんだ、今の爆発は!?」
ゴリが空を見上げると、上空からカイトフライヤーウッドゴーレムがミサイルを発射して来た。モクモクと煙の尾を引きながら次々とミサイルが飛んで来る。
そのミサイルがダウンしているミケランジェロに追い撃ちを入れて爆発した。
ちゅどーーーーんっ!!
「ぐぁぁああっ!!」
再びミケランジェロが爆炎に包まれた。
「あの飛んでいるゴーレム野郎は飛び道具を放つのか!?」
すると今度はカイトフライヤーウッドゴーレムがゴリたちに迫った。滑空して来ると、ゴリたちに向かってミサイルを発射する。
「やべぇ、こっち来たぞ!!」
「にーげーろー!!」
「あわわわわ~~!!」
ちゅどぉぉおおおお!!!
逃げたゴリたちの後方で爆炎が上がった。その爆風がオアイドスのロン毛を後ろから前へと靡かせる。
逃げながらバイマンが叫んだ。
「あの飛び道具、魔法じゃあないですよ。魔力が感じられません!!」
「物理攻撃の爆発物なのか!!」
「しかも飛んで来るなんてありかよ~!!」
泣きながら逃げるオアイドスの足は速かった。三人の中で一番の俊足である。
「何をやってるんだ、馬鹿野郎ども!!」
ゴリが声の聞こえて来た上のほうを見た。屋根の上だ。
「アスランか!?」
逃げる足を止めたゴリが見上げると、二階建ての屋根の上にアスランが立っていた。
バイマンとオアイドスが声を揃える。
「「アスランさん!!」」
アスランの腕には筒型のハーフーンガンが持たれており、背中には銛を数本ほど背負っていた。その大筒でカイトフライヤーウッドゴーレムの一体を狙う。
「食らえ!!」
ドーーーーンっと大筒が火を拭いた。すると銛が発射される。そして、一機のカイトフライヤーウッドゴーレムに命中すると爆発して撃ち落とす。
爆発する銛が命中したカイトフライヤーウッドゴーレムは木っ端微塵に吹き飛んでしまっていた。手足がバラバラに砕けて、煙を上げた木片が焦げながらボロボロと降って来る。
「おおう、なかなかの破壊力だな~」
アスランはハープーンガンに新たな銛をセットすると再びターゲットを狙う。そして、銛を発射して二機目のカイトフライヤーウッドゴーレムを木っ端微塵にする。
簡単に二機目が墜落した。
「ざまーーー! これは爽快な武器だな!!」
屋根の上で叫んでいたアスランがゴリに向かって持っていたハープーンガンとセットの銛を投げて渡した。
「ゴリ、これを使ってあいつらを全部撃ち落としてやれ。使い方は今ので分かっただろう!」
ゴリはハープーンガンと銛を拾い上げるとアスランに訊いた。
「お前はどうするんだ!?」
「俺は魔王城に向かう。あとは任せたぞ!」
そう述べたアスランは屋根から飛び降りると魔王城に向かって走り出した。その背中を見送ったゴリは腕の中のハープーンガンを見ながら言った。
「これならミケランジェロの援護も出来そうだぞ」
【爆発のハープーンガン+3】
命中率が向上する。飛距離が向上する。放った銛が何かに刺さると爆発する。
ゴリがハープーンガンに銛をセットしているとオアイドスが叫んだ。
「ゴリさん、上から来たよ!!」
「よしっ!!」
ゴリは上空から迫り来るカイトフライヤーゴーレムにハープーンガンを向けるとトリガーを引いた。
爆音と共に発射された銛がカイトフライヤーウッドゴーレムに命中すると更に大きな爆音を上げて粉砕させる。
「これ、いいな~。癖になるぞ……」
こうして魔王城街での戦闘は、更に激しさを増して行くのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます