Episode.02 Telephone

めぐみ〜、土曜ひま〜?』


 私の無二の親友の『冴子』……『中山道なかせんどう 冴子さえこ』からの、合コンのお誘いの電話だ。


 ……私『蛸殴たこなぐり 使手恵してえ』は自分の名前が本当に嫌なので、親しい人には『使手恵』の『恵』だけを取って『めぐみ』と呼んで貰っている。


「土曜はダメ〜。 足パンッパンで、男どころじゃ無い」


 私はカフェレストランで給仕の仕事をしているのだが、金曜日の夜がメチャ混みで立ちっぱ歩きっぱ……翌日は、家で休息とエアマッサージをする事に決めている。


『おー! それは何より! ……今回の合コン相手は病院のマッサージの先生だよ! 揉んで貰いなよ〜!』


 え? マジ? マッサージ?


「いや……それは時期尚早でしょう!」


『良いのよ! そーゆースキンシップと、パーソナルスペースの短縮が、恋を成就させる秘訣なわけよ!』


「そーゆー冴子も、未だ彼氏出来ないじゃん」


『……選り好んでんのよ! ……まあ、どうでも良いから行こーよー! 恵が居るだけで、会場に花が咲いたようになるんだから〜』


 ……そう言われると断りづらい。


 結局、土曜の合コンに参加する事になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る