50.水になりたい

 君を飲んでゆく罪のないその液体は、人を素直にするの。それとも嘘つきにするの。どれが本当でどちらが本物か分かったような、分かり合えたような錯覚に抱かれても何一つ明らかでない虚しい朝が来る。この街で過ごした全てを忘れてしまいたい。真っ白な君だってここに置き去りにしたまま今、僕はどこまでも透明な水になりたい。

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