第3.5話 Cパート~ランニングマシーン~

「さ、まずは長距離走だな。グラウンドはねぇから、この特製ルームランナーで走ってもらうぜ」

 そう告げた副司令の横に、僕ら三人が横並びになる。

 そして足下のレーンが動き、長距離走が始まった。

「はぁ、はぁ、はぁ……っ」

 そして、開始一分も経たない内に僕は息が上がり始めた。

 つらい。心臓が激しく脈打ち、肺が両側から引っ張られる感覚がする。皆、どうしてこんな辛い中走れるんだろうな……そんなことを思ってたら、右からまたむにぃっ、とした感触が伝わってきた。

「っ! ハツネさん!?」

「勇、いきなりペースを上げ過ぎです。ここはゆっくり行きましょう。ほら、私がペースを作ってあげますから、一緒に走りましょう。せーの、1、2、1、2……」

 むにっ、むにっ、むにぃ……っ

 うぉおおおおおおっ!

 駄目だハツネさん。これが善意からだってわかってる。でもこの密着具合は駄目だよ! 絶対男なら勘違いしちゃうって!

「1、2、1、2……」

 むに、むに、むに、むに、むにぃ……

 ハツネさんが動く度ムチムチと揺れる胸の感触が襲ってくる。

 リアナさんとは違う柔らかさ……だけど、弾力は強い旨の感触に、僕は心臓が跳ね上がるのを感じる!

「1、2、1、2……駄目ですよ勇、もっと力を抜かないと……」

「もう、駄目ね」

 むにぃっ。

「ッ!」

 うおぉおおおおおおおっ!?

 さらに、今度は反対側からリアナさんが胸を押しつけてきた。

「ダーリンはぁ、あたしと一緒に走りたいんだよねぇ? ほら、ダーリン、あんな体育会系放っておいて、あたしとゆっくぅ~り走りましょう♪」

 むにぃ、むにぃ、むにぃ……っ

 あぁああああああああッ!

 や、柔らかい……ッ! まるでマシュマロのようだ。しかも、ハツネさんより大きい……ッ!

 その胸の感触に気をとられ、さらにペースが落ちる。すると、ハツネさんはさらに僕へ胸を押しつけてきたッ!

「やめて下さい横恋慕ッ! あなたのせいで勇が苦しんでるじゃないですか!」

「苦しませてるのはどっちよ無愛想ッ! あんたはもっと人のことを考えなさいッ!」

 待って、顔を寄せないで。胸ももっと寄せてくるからッ!

 二人は顔を突き合わせながら走る。それに囲まれる僕は二人の顔を近くに感じながら、胸の感触を味わっている。

 人によっては桃源郷のような状況だが、眼前の二人が醸し出す険悪な空気のせいで全然気持ちが安らがない。むしろ胃がキリキリしてきた。

 そして口論する二人を含む僕らは、三人仲良くGV史上最低記録をたたき出したのだった。

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