スケッチブック

なお

1. 秋うらら

秋の暮れ

空の薄浅葱うすあさぎと紅葉の深い赤を写した水面みなも

凪いだ湖のほとりで息をこぼす


色なき風が、水面を揺らす

幾重にも波が重なり

太陽の光をキラキラと反射させる

呼吸が喉の温かさを奪ってゆく

何度目の秋だろうか


また思い出が淡く薄くなっていくようだった


腰を上げると

柔らかな泥に生えた水草がなびいた

川魚が少し驚いたらしい


まだ僕はここにいる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る