最弱吸血ロリ巨乳美少女ヒロインに依存されてぇえええええええええええええ!!!

三流木青二斎無一門

序章のプロローグ

茂みがある森の中。

二人が一緒になって歩いている。


「ルイン?」


その男、オールドは聞く。

彼の背中には、背の低い、灰色の髪を持つ少女をおぶっていた。

少女は、彼の声によって目を覚ますと、両手の力で強く抱き締める。


「ごはんの時間か?」


そう聞くと、ルインと呼ばれた少女は頷いた。

オールドは彼女を下すと、自らの手を、爪で切り裂いた。

流れ出す血が、彼女に向けられると、ルインはその血に舌を伸ばす。

手のひらから流れる血を舐めて、ルインは血を飲み込む。


「ちゅ…ん、ちゅる…」


絶え間なく溢れる血を、ルインは口を近づけて吸い込んだ。

オールドは、彼女の行動を見ながら微笑んでいる。


ルイン、オールドが愛する存在。

彼女が自分を求めてくれる事が、オールドは何よりも嬉しかった。


「おなかいっぱいか?」


そう聞くと、ルインは頷く。

そして、彼女はオールドの手を舐め出した。

唾液を分泌して、傷口を舐めると、オールドの手の傷は消えていく。


「ん、ぅ」


血なまぐさい息が漏れる。

オールドの手の傷が無くなり、今度は、少女は彼の指を舐める。

それが、オールドと少女のサインだった。


「…分かった」


口を近づけるオールド。

少女の口に触れると、二人の舌先が絡まった。

熱が加わり、混ざり合う。

再び口を離したとき、熱が引いて物足りなさが残り、もどかしく思える。


「ん…」


息を漏らして、彼女は衣服を剥いだ。

豊満な胸が揺れて、オールドはその胸に触れる。


「リィフ…」


少女に対して、オールドは名前を口にした。

そして、肉欲に溺れていく。

離さないように、首輪につけた鎖を握るように。

少女は、オールドを手放さない。





数週間前。

リィフとルインは殺されて、オールドは狂った。




はじまりは、夜明け前だった。

人々が目を覚ます時間帯に、その悪魔たちは現れたのだ。


「我こそは、『戦禍』のウォーである」


黒色の甲冑に身を包む生物がそう叫んだ。

その下半身は馬の体を縫い合わせたかの様な姿であり、ケンタウロスの様に見える。

ウォーと言った生物の腕には、馬上槍試合で使う様な細長い槍が生えていた、その腕は血に濡れていて、人間の体が突き刺さって焼き鳥の串刺しになっていた。


「脆弱なる人間よ、我に挑むが良い、『戦禍』の名の通り、向かうもの全てを殺し尽くそうぞ」


「ひぃぃ」「あく、悪魔、だぁ!」「逃げろぉ!」


村人たちはそう叫び逃げ惑う。

その姿を認識した、悪魔と呼ばれる『戦禍』のウォーは人間の後ろ姿を見つめながら背中から先端が捻じれた矢を出現させる。


「逃げるか、臆病者め、我と戦う価値すらない、無様に死ね」


複数の矢が上空に向けて放たれると共に、矢は螺旋の軌道を描きながら、逃走する人間に必中する。


「さあ、勇敢なるモノよ、我が闘争に興じよ!怒りを抱き、この喉笛を裂いてみせよ!来たれ、来たれ勇者!」


そう叫びながら、悪魔、『戦禍』のウォーは腕を木造の建物に向ける。

腕は形を変えて、竜騎兵が使用する着火燃料と鞴が合体した火炎放射器に変えると、木造に粘液性の着火燃料と共に火が勢いよく噴き出して木造建築に火を灯す。

即座に、家が燃えだすと、周囲に向けて火炎放射を放ち、即座に周囲は炎に包まれる。


「畜生、悪魔めっ!」


そう叫ぶ一人の青年。

茶色の髪をした、余分な脂肪のないがっしりとした筋肉を宿す青年は、悪魔の元から逃れるように走っている。

青年はこの村に住む農民の出自であり、彼の手には、妹の手を握り締めている。


「ルイン、急げ」


ルインという言葉。

それがオールドの妹の名前だ。

薄い青、空が落ちてきたかの様な青い髪の色をした少女。

体は細く、華奢であり、その相貌はオールドには似ても似つかない美少女だった。

オールドの言葉に、ルインは息を荒げながらも必死になりながらオールドの後ろを走り続ける。


「待って、オールド兄さんっ」


青年の名前は、オールドと呼んだ。

その妹である少女は、ルインという名前だった。

家族は、幼少の頃、畑仕事をしていた両親は、悪魔によって殺された。

肉親は兄妹二人となってしまい、二人は手を取り合って生きていた。


「はっ…はっ…リィフ、どこだ、リィフぅ!」


オールドは女性の名前を叫んでいる。

それは、オールドの恋人であった。

この村の娘であり、特別優秀というわけでも無かったが、孤独なオールドに惹かれた唯一の女性であった。

オールドは悪魔から逃げながらリィフの名前を叫ぶ。


「…っ!オールド!!」


青年の言葉に反応する、女性の声が聞こえてくる。

オールドは、声のする方に顔を向けて、額から浮かび上がる汗を拭った。

リィフが其処に居た。

赤い髪を頭巾で覆う、ぼろの服から伺える豊満な体。

この町の村長の娘である事から、それなりに良い暮らしをしている証拠だった。


「オールド!」


オールドの大切な恋人、リィフが立ち止まっている。

彼女の姿を確認した所で、オールドはリィフの元へと移動した時。


「ダメ!オールド、来ちゃっ!」


その言葉を最後に…彼女の背後から、触手の様なものが伸び出して、リィフの体に絡み付くと共に、彼女の体がみるみると萎んでいく。


「あ…あっ…」


植物の蔓が、リィフの肉体の栄養素を吸収していた。

生気を吸い取られて、だんだんと死にかけている彼女の姿を見て、オールドは悲痛に叫んだ。


「リィフ!!」


そう叫ぶオールドだったが、彼の手を握るルインが引き留める。


「ダメ、兄さんっ!逃げないと、もう、リィフさんは、死んでるっ」


その言葉と、自分の妹の声を聞いて、オールドは我を取り戻す。

そうだ、逃げなければならない、と。

リィフを失った絶望を胸にしながら、それを忘れるように走り出す。

全ては、残されたルインを救う為に、オールドは彼女に対する思念を振り切った。


「ウォー、なにをしている?」


植物が地面から生えると、葉の色をした、人間の頭部を模した悪魔が出てくる。


「プラントか、誇り高き強きものを殺し尽くしてからゆっくり探そうとしていてな」


彼らの背後から、戦禍のウォーがやってくると、『森賢しんけん』のプラントが否定する。


「そうか、まあ、あの小娘ならば、死なぬだろうしな、『吸血』のノスフェラトゥを、な…早々に皆殺しにして、小娘を探すとするか」


オールドとルインは悪魔のやりとりを聞きながら走り出す。

そして、ルインは走っている途中で躓いた。

彼女の足元には、無造作に食い殺された人間の残骸、その一部である左腕に足を掬われてしまった。


「っ!」


「ルイン、大丈夫か!?」


そう叫び、ルインの元へと駆け寄ろうとした時。


「食い物だぁ」


建物の屋根から飛び降りる、全身毛むくじゃらの、二足歩行をする獣。

イヌと同じ顔をしたその生物も、やはり悪魔なのだろう。


「うまそうな娘だなぁ…女は柔らかくて、若いともっと柔らかいから、すきなんだよなぁ」


「あ…ぁ、に、兄さんっ」


ルインは恐慌しながら、オールドに目を向ける。

そして喉を鳴らして意を決してオールドに叫んだ。


「兄さん、私を見捨てて、逃げて!」


その言葉に、オールドは震えながらも、首を左右に振って、近くに投げ捨てられていた薪を作る為の手斧を握り締めた。


「ふざけるな…お前は、大事な、俺の家族だ、見捨てる事なんて、出来ないっ!」


歯を食い縛りながら、狼男にむかって駆け出す。

手斧を振り上げたオールドに対して、狼男は尻尾を振ってオールドの横腹を強く叩いた。


「うぐっ!!」


建物に向けて叩きつけられたオールドは、木片を破壊して建物の奥へと入ると、彼は気絶してしまう。

意識を落として、彼は数十秒ほどの夢の中へと陥った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る