六雨 「出立」
"シュゥゥゥゥォォオオオオン..˛、˛、˛、˛、˛、˛
征四郎たちを乗せた、叶生野グループ専用のプライベートジェットは
東京の空港から、ルーシーから話を聞かされたよく分からない
無人島に住むと言われる Speaker と呼ばれる人物のいる場所を目指して
晴れ空を飛び立っていく___________
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「どうやら、場所は、ニュージーランドとかになるらしいな」
「 .. .. ...」
「どうしたんだ? 征四郎くん?」
広々としたまるで邸宅のリビングルームの様な広さを持った
ソファが並べられた場所で、善波が反対側のソファに目を向けると
征四郎がどこか浮かない表情で、両手を組みながら何か考え込んだ様に
深くソファに背を預けている___________
「┈┈┈…その、'Speaker'ってのは、簡単に会えるのか?」
「イチオウ、ルーが、話はしてるみたいヨ。」
征四郎の隣の席に座っていたジャンが、ソファの前に立った
善波に答える
「(ニュージーランドの無人島...)」
「あまり、確からしいと思える話でも無いが、このまま日本で
何か別の手を探ってもする事がないだろう。」
「 ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」
何となく話を聞くが、押し黙ったまま征四郎は
機内に敷かれた絨毯を見ながら俯く
「ニュージーランドに着けば、そこからスグって事なの?」
「________どうだろうな」
「… … …おい」
"スッ"
リビングの席の端の方にいた黒いスーツを着た男に善波が一声かけると、
今いる機内の空間の灯りが消える
"パッ"
「プロジェクタか....」
"ピッ ピッ"
黒いスーツを着た男が、何かリモコンの様な物を手に持ちながら
善波 征四郎 ジャンの少し先の機体の壁際に大きく浮かび上がった
プロジェクタの画像を表示させる
"ピッ"
「まず、俺たちが今いる、日本________ とは言っても、もう2時間以上は
経つから、とっくに日本の領海は飛び越してるがな」
「・・・・おい。」
「———ハッ。」
善波が右手を差し出すと、黒いスーツを着た男がリモコンを善波に手渡す
「俺達が、今いるのは┈┈┈┈… … …」
"ピッ ピッ"
リモコンを操作しながら、善波はプロジェクタの巨大スクリーンに
浮かび上がった地図を操作し出す
「今はここ—————」
「・・・日本と、パプアニューギニアの間くらいか?」
「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ そうなるな」
機体のGPSと連動しているのか、プロジェクタに浮かび上がった
地図の上に今征四郎たちが乗っているプライベートジェット機の場所が
赤い点で表示されている
「_________そして、ニュージーランドは、ここだ」
"ニュージーランド"
善波がリモコンの様な機械に向かって話しかけると、プロジェクタの
地図の視点が現在位置から遥か南方、ニュージーランドの位置へと移る
「とりあえず、日本からニュージーランドまでは
10時間とちょっとくらいだから… … … あと8時間程で、一応は
俺達が乗ったこの機体はニュージーランドの空港につく事になる」
「・・・ソコから、その"シマ"に行くのは、船に乗らないとダメでしょ?」
「ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ああ、そうだ」
室内が暗いせいか、誰が喋っているか分からず周りの様子を覗いながら
善波はプロジェクタの赤い点に目を向ける
「┈┈┈∙∙∙∙そこは、簡単に行ける様な場所なのか?」
「________あまり人の出入りは少ない場所だとは聞いているが、
まるで人がいない訳でも無い。 ルーシーの話だと、どうやら、
そのニュージーランドのインバーカーギルと言う都市から
船に乗って行けるみたいだが˛˛˛˛」
「インバーカーギル...」
「そこには、ちょうどこのジェットが停められる空港もあるみたいだな」
「 ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」
「________善波御代。」
「...早瀬。」
先程善波に向かってプロジェクタのリモコンを渡して来た、以前は雅の
直属の部下だった早瀬 智之が善波の側へ近づいてくる
「我々、叶生野グループの者も雅理事————、いえ、雅さまの
病気が治るなら、どんな事でもお手伝いさせて頂きます....」
「 ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」
どうやらこの早瀬と言う男は雅の直属の部下だったせいもあるのか、
今回の雅の一件に関してかなり思う所がある様だ。
「(Speaker、か....)」
"シュゥゥゥゥゥウウウウオオオン....
「( ... .. ..)」
征四郎たちを乗せたジェットは、ニュージーランドの
インバーカーギルの空港を目指してやや暗く、雲がかかった空の間を
抜けて行く____________
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