第24話 T 地方のある場所について
東京の話じゃないんですけどね。
高速道路を走っていたら、畑の中に建つ瀟洒な建物が車窓から見えた。
E の字型の建物で、白い壁にオレンジの屋根。屋根の上には金色に輝く十字架が。
「あの建物なんだろう? ホテルかな? 何かの僧院?」
すかさず G◯ogle マップで調べてみる。
『聖◯◯の家』
「なんかキリスト教系の建物みたいだよ」
しかし、施設に関する情報は何も表示されない。web サイトへのリンクも無いし、自治体の観光情報も表示されない。見つかったのは、三件の G◯ogle レビューのみ。
一つ目のレビュー。日付は二年前。
「いとこがこの施設を訪ねた後、戻ってきません。ここに行くのはお勧めしません」
二つ目のレビュー。一年前。
「私の祖母もここに行って帰ってきません」
三つ目のレビュー。一年前。
「いとこが戻って来ないと言っていた方、その後いとこさんは見つかりましたか。一年以上経っているので心配しています」
……怖っ!!
最初の二つのレビューを書いた人たちは、レビュー書くより警察に連絡する方が先だと思うのだが、その上でレビューを書いたんだろうか。だとしたら近畿地方にあるインターネット使う神様がいる神社より怖いところだと思いました。
(2023 年 11 月 8 日)
2023 年 11 月 16 日追記
その後、地元コミュニティ紙の web サイトで、写真付きで施設の説明をしている訪問記を見つけました。プロテスタント系の修道院で、今はホステルのような簡易宿泊所としても利用でき、身寄りのないお年寄りを受け入れたりもしているようです。
修道僧の人たちは、普段インターネットを使わない生活をしていて、都市伝説のような書き込みがあっても気付かずに放置しているのかもしれません。
2023 年 12 月 7 日追記
よく考えたら、コミュニティ紙の投稿は 2017 年でした。もしかしたら、2017 年当時はまっとうな場所だったけど、その後、何か怪しい組織に様変わりしてしまったのかもしれないと思いました。
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