雑想の盛り合わせ ~なんかネタになるかもしれない。たぶん。しらんけど~
みつなはるね
F・J・モリッシーの物語 2022年8月
「やってしまった・・・」
私はパソコンの前で頭を抱えた。
小説の執筆資料と個人的な興味で、私はF-15のマニュアル(できれば紙のもの)が欲しかった。ネットを漁って見つけたものは、スキャンされた状態があまりよろしくなかったからだ。
見つけた!と思って購入を確定させた後、家人に「紙のF-15のマニュアル手に入れた」と上機嫌で報告し、ウキウキしながら先ほど入手したお宝アイテムの説明ページを確認してみたところ、よくよく見ると”IN DISK”と書かれていた。
そう、これは紙ではなく、PDF化したものを焼いた、CD-ROMが送られてくる。それも遠路遥々アメリカから。
「キャンセルしよう、キャンセル」
しかし、私が浮かれてはしゃいでいる間に、キャンセル期限はとうに過ぎていた。
数日後、そろそろ発送連絡でも入るだろうかと思っていたが、なんの連絡もないためメールソフトを確認すると、やはり迷惑メールに振り分けられていた。
ebayからのメールは受信BOXに振り分けて良いよと言っているのに、本当にこの鳥は3歩で忘れるらしい。
あぶない、あぶない。
私は発送通知メールを確認し、念のためブラウザからebayに入る。
右上の通知マークに赤いドット。新着メッセージのサイン。それを消すためにメッセージボックスを確認。
おや?出品者からメッセージが・・・
「やあ!落札してくれてありがとう!データのダウンロードだったら、送料13ドルは必要ないよ! 連絡を待っている」
これは、発送通知の前日に届いていたメッセージ。
「あぁ、キャンセルしようと思った物が、ちょっと安くなるところだったのに、5000円近く払うのかぁぁ!!」
私は出品者にメッセージを確認し忘れていたことを謝罪し、仕方なく彼からの荷物を待つことにした。
そして数日後、ポストにアメリカからの郵便物が届いていた。
封筒の中には2枚のCD-ROMが入っていた。
ともかく、まずは内容を確認しよう。
・F-15E 1 F-15E-1 Flight Manual 15 August 1990 1991
・AAF-Basic-Military-Training-History
・AAF-Combat Units Squadrons-1941-1945
・Morrissey Flight Training B24 Luft Stalag Museum 27 December
ん?F-15のフライトマニュアルだけじゃない?
アメリカ陸軍航空隊トレーニングプログラム???えっとこれって、アメリカ空軍の前身だったっけか?
いずれも英文タイプライター独特のフォントで綴られた、古い印刷物のスキャンデータだった。それもWW2の頃。
トレーニングヒストリーは、さっと内容を見ると教育プログラムで何をやるかのレジュメのようなものらしい。(まだちゃんと読んでいない)
1941年から1945年の飛行戦隊のリスト。表題にもあるがWW2の資料だ。当時の司令部の人達の名前と、部隊のエンブレムや所属していた機体のこととかが載っている。(当然白黒!これもまだちゃんと読んでいない)
”Francis J. Morrisseyの物語”
これだけがカラーで、かつデジタルで綴られた個人史だった。
--私の「パパ」である副操縦士フランシス・J・モリッシーに捧ぐ。
パイロットのフランシス・S・ロジャース そして、ナビゲーターの "ハンサム "ハリー・E・パーに。
あなたの無私の奉仕は、"偉大なる世代 "を定義するのに役立ちました。--
パパ? 苗字が違うけど、出品者(筆者)はモリッシーの息子?
F-15の紙のマニュアルをスキャンした、読みにくいタイプライターの文字を追うより、デジタル化された文章の方が俄然読みやすい。
私の興味は25ドルのマニュアルより、オマケについてきた「モリッシーの物語」に強くひかれた。
内容は彼(出品者)の著作物なので詳細は割愛するが、翻訳ツールを併用してざっくり読んだところ、モリッシーは高校卒業後にアメリカ陸軍航空隊に入り、飛行訓練を積んでパイロットになり(当時の訓練課程なども詳細に書かれていた)、B-24の副操縦士としてヨーロッパ戦線に従軍。1944年にユーゴスラビアで撃墜されてからドイツ軍の捕虜収容所にいれられて、そこで終戦を迎えた・・・らしい。
らしいというのは、私がまだ全文を読んでおらず、ところどころ挿入されている写真と、スケッチ、それに関するテキストだけを拾い読みしたからだ。
なお、彼は1982年に退職金と軍人恩給満額もらって退役。1998年に亡くなっている。
そしてどうやら、彼が収容された捕虜収容所はかの「スタラグ・ルフトⅢ」だった。ここはとても有名どころで、Wikiにも載っている。
とにかく、写真が豊富で当時のアメリカのパイロット達や、ドイツの捕虜収容所をうかがい知る事ができる貴重な資料だった。
あとは、Deeple翻訳ありがとう。良い時代になりました。
さて、もう一枚のCD-ROMはというと、全く同じ内容だった。そこで私は出品者に連絡を取った。
「同じ内容のCD-ROMが2枚あるけど、どうしたらいい? それと、モリッシーの物語を少しだけ読んだ。とても興味深い内容だった。素晴らしい著作をありがとう」
翌日、彼から返事が来た。
「CD-ROMはスペアだからそのまま持っていて。 たのしんで!」
だそうだ。
楽しむどころじゃないよ。700ページ近いPDFだから全部読むのはとても骨が折れるけど、死ぬまでには翻訳ツール併用して読むよ。そう、全部読むのが楽しみだよ!
それと、本命のF-15のフライトマニュアル。コピーを重ねられた荒さと、綴じられたリングはまっすぐでも、コピーが斜めだったりするのでとても読みにくい。
これしか入っていなかったら、たぶん膝から崩れ落ちていただろう。遠く日本から、口汚く出品者を罵ったかもしれない。しかし、モリッシーの物語は全部で38ドルを払う価値があった。
そう、これが無料で公開されていてもね。
だって、38ドルを支払わなければ(ひょっとしたら25ドルだったかもしれないけど)、
もしかしたら、同じようにeBayで彼の著作を入手した人がいるかもしれない。その人は多分ラッキーな人だと思う。
そして、モリッシーの経験が気になった人。あなたは多分、もっとラッキーだ。
電子の海は素晴らしい。
探してみて。
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