第5話:浮気者
1624年1月26日:江戸城中奥:柳生左門友矩11歳
「ああ、もっと、もっと深く愛して」
奥から戻って早々尻を差し出してくる。
奥に泊まっても女を抱くこともなくただ眠るだけだと聞いている。
よほど女が嫌いなのだろうが、こんな事で徳川家は大丈夫か?
駿河大納言様に男子が生まれなければ、御三家から四代将軍が選ばれる?
もし尾張徳川家から四代将軍が選ばれたら、柳生家の本家は尾張柳生家に取って代わられてしまう事だろう。
「上様、拙者の話しを聞いてくださっていますか?」
「うっ、聞いている、聞いているからもっと深くして!」
どこが聞いているんだよ!
さっきからずっと尻の快楽に溺れているだろう!
上様なら、受けが好きでも正常位でやれよ!
「堀田殿は佞臣です。
お世話になっている春日局殿の悪口を言っています。
上様のお世継ぎの事を考えず、自分が寵愛される事ばかり考えています」
「うっ、うっ、うっ、もっと痛くして!」
「上様、本当に聞いていますか?
聞いてくださらないのなら、もう抜きますよ?」
「いや、お願いだから抜かないで!」
「上様、上様が小姓にお願いしてどうするのですか!
上様なら小姓の私に厳しく命じてください。
上様が命じてくださるのなら、拙者は従います」
好きで従うのではなく、忠義で従うだけだけど!
「ああ、私を求めて喧嘩してくれといるのですね。
嫉妬して争ってくれているのですね。
うれしい、うれしいわ、左門」
これは駄目だ、とてもじゃないが将軍の器ではない。
20歳が11歳に尻を差し出して哀願するなど異常すぎる。
できるだけ早く将軍を辞めさせるべきだ。
父上に全てを話して何とかしてもらうか?
大御所様に全てを話せば何とかなるか?
「堀田殿と争ったのは忠義の在り方についてです」
「忠義でも構わない。
愛情の方がうれしいけれど、左門が愛してくれるのなら忠義でも構わない。
だからもっと愛して!」
一体何度愛したら気が済むのだ?
もう四度も愛し果てているのだぞ?
「上様、これ以上は尻が裂けてしまいます。
拙者はどれほど求められても上様を傷つけられません。
この尻の傷は最初からありました。
堀田殿は上様の身体に平気で傷つけるのですか?!」
「そうよ、三四郎は私の言う事は何でも聞いてくれるわ。
深く強く激しくと言ったら、その通りにしてくれるわ。
左門も私を傷つけていいのよ」
「上様、もう二度とそのような事は止めてください!
どこであろうと上様の身体に傷を付ける事は許されません!」
「私が願った事よ。
私が命じてやらせた事よ!
左門も私が命じたらやってくれる?」
「上様の身体を傷つけるなど、上様に命じられてもやれません。
どうしてもやれと命じられるなら、諫死します」
「うっ、うっ、うっ、残念だわ。
左門に死なれるのは嫌だから、我慢するわ。
どうしても欲しい時は、三四郎にやらせるからいいわ」
「……上様が堀田に操られていると感じたら、元凶を断ちます」
「え、それは、三四郎を殺すと言っているの?」
「堀田が身の程も弁えず、上様を利用して天下を仕置きする。
そのような事があるのなら、誰が何を言おうと堀田を殺します」
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