【俺は神剣に選ばれ最強になる!】成り行きで封印を解いてやったら本好き悪魔が修行の旅についてきた~激レア外れスキルの『努力』ってどういう事だよ!~〖俺と悪魔が無双した件〗

いな@

第1話 不思議な出会い

「おいケント! ここの掃除はお前がやっておけ!」


「はあ? ふざけんな! てめえがやれや! クソじじい!」


「私は爺ではない! 今から私は大事な仕事があるのだ! クソガキケント! 育ててやった恩ぐらい返さんか! チビケントが!」


「なっ! クソハゲ爺! 俺はチビじゃねえ! スライムみたいに早くツルツルになりやがれ!」


 睨み合う俺とクソハゲ爺。

 古ぼけた小さな教会の前でいつでも攻撃できるようにお互い構えを取り、じわりじわりと距離をつめる。


 一瞬まばたきをした瞬間を見逃さず、爺が動き、俺も負けじとその早い突きを迎え撃ち、叩き上げるようにして攻撃を反らしてふところに踏み一撃! だか簡単に体をひねり躱され、さらに蹴りの反撃を受ける。


 お互い何撃もの攻防だが、俺は徐々に体力が奪われ防戦一方になる。


 流石に体格差もあり、俺の方が打撃力で不利だが――負けてられねえ! 絶対その残り少ない毛をむしってやる!


「あはは······司祭様も、ケント君も落ち着いて~。司教様が見てますよ~」


「「勝手に見せておけ!勝手に見せておけ!」」


「あはは······どうしましょうか司教様」


「くくくっ、先に向かいましょう。こうしている間にも困り果てる者達がいるのですから。おっ! そこですケントくん! ああー! やはりまだクルトには敵いませんか」


 死角から放たれた蹴りをまともに食らってしまい、俺は頭がくらくらして動けなくなってしまった。


「けっ! お前は私に負けた! だからこの教会の隅から隅まで掃除しておけ! 一人だからって女の子連れ込むんじゃねえぞ! 分かったな!」


「ぐっ」


 クソハゲ! 爺の癖に強すぎるっての!


「司教様お待たせしました。悪は滅びました」


 滅んでねえし悪でもねえ!


「ふふふ。この教会、いえ、村で唯一の孤児であるケントをあそこまで育てたのに、悪は無いでしょう。とても良い子に育っておりますよクルト。あなたもまんざらではないのでしょう」


地面に片ひざ立ちで蹴られたところを押さえながらクソ爺が司教さんのところに合流するのを見た。


「いやぁ、ただの悪ガキですって。次私がこの村に帰ってきた時の洗礼でケントの職が決まるでしょう。そうしたらケントは旅立つ事になる。それまでの関係です」


「そういう事にしておきましょう。ではケント。クルトをお借りしますね」


「ぐっ、ああ。司教さんも手を焼くかも知れねえが用心棒にはなるだろうからな」


「ふふふ。はい。では参りましょう」


 司教さんがクソハゲ爺とぷくぷく太った助祭の兄ちゃんそしてもう一人槍を持ち、剣を腰に携えた俺の剣の師匠を連れて、見えている村の門からその四人は出ていった。


「いちちっ。くっそー、やっぱり敵わねえな。仕方ねえ掃除すっか」


 痛むのは気合いで我慢して立ち上がり、開けっぱなしだった教会に入って、見慣れた礼拝所を見渡したんだが。


「はぁ~、しっかしボロボロだよな。とりあえず椅子とか全部出しちまうか」


 真ん中に並べられていたガタのきてる長椅子を四脚に、その奥に置いてあるクソ重たい司祭用の机を出して終わりだ。


 ……スッキリしたが全然広く感じねえな。


「ついでに敷物の絨毯も干しておくか? 剥がして掃除してるとこ見たことねえしな。おっし! 徹底的にやってやる!」


 真っ赤で所々泥の足跡がついて机があった場所から扉のところにまである敷物をぐるぐる巻いて行くが……。


 中々重いじゃねえか! 一気に行くぜ!


「おらおらおらおら!」


 勢いに任せ、ぐるぐる部屋の半分まできた時気付いたんだが、机があった場所、巻き上がった敷物の下から鉄でできた頑丈そうな扉が現れた。


「何だ? こんなのあったのか。スタンピードの避難に使う地下室か? まあ何にせよ絨毯を巻いてしまうか! おらおらおらおら!」


 巻き上がった絨毯を引きずり外に出し、とりあえず教会前に広げておけば良いだろう。


「よしよし。天気も良いし良い虫干しになるだろこれで」


 さて、さっきの扉を覗いてみるか、避難用ならたぶん何か武器でもあるだろうし、今のボロボロの刃も付いてない剣と交換できたらするんだがなあ。


 俺が訓練で使っているのは形こそ剣だがただの鉄の棒だ。


 こう、ズバッ! って切れるヤツが欲しいんだよな。


 そんな事を考えながら何もなくなった礼拝所に戻ってきたんだが扉には取手が······。


 無いじゃねえかよ······。


「何だよこの扉は、開けられねえぞ? 字は何か書いてあるみたいだが······習った字じゃねえし分からん! クソ!」


 俺は飛び上がり勢いよく扉の上に飛び乗った。


 もしかしたら開くかもって、ちょっとは思ったがスタンピード用なら俺が上に乗ろうが開くわけねえんだよな。


「駄目だな」


 そう言いながら扉の上に座り込んで手をついた。


 その時クソ爺との闘いで擦りむき、血が滲んでいた手のひらが、ひんやりとして気持ち良いなと思った瞬間。

 目を開けてらんねえほど、扉に書かれていた文字が一気に全部光って、フッとケツが浮いた気がした。


「どぅわぁぁぁぁー!」


 ガランガラン音を立て、座り込んでいた扉、俺が飛び乗ってもビクともしなかったこの扉がまるで、ガラスでも割れるように砕け、地下室へ俺と共に落ちてしまった。


 ガッシャーン!


「痛ってぇぇぇー! なんだよ! 飛び乗っても壊れなかったのによー!」


 お尻から落ちてしまったから尻が痛いが薄暗い地下室の中をキョロキョロ見ると、天井に空いた穴から射し込んだ光でキラキラと光るものが見えた。


「おお、結構広いじゃねえか、俺の秘密基地に······なんだこのデッケーのは? これは宝石か?」


「んあ? 誰? 誰かいるの?」


「な、だ、誰が喋ってるんだ! 出てこい!」


「あっ! 本当に誰かいるじゃん! ねえねえちょっとこの水晶を壊してくれない?」


 それは宝石から、いや、水晶と言ってるんだしこれは水晶なんだな。

 ってか声が出ている事に俺は少しビビり……。


 いーや! ビビってねえし!


「何だお前、水晶の中にいんのか? なんでそんなとこに入ってるんだ?」


「いや~話せば長くなるけど聞きたい?」


 訳わかんねえし、ビビっちゃいねえが、どんな奴か聞かねえとわかんねえよな。

 ここは黙ってまずは聞いてみることにするか。


 俺が黙って水晶を見ていると『聞いてくれるんだね~』となんか嬉しそうに話し始めた。


「ちょ~っと地上を荒らしていたら神様に怒られちゃってさぁ~、神剣で刺されてそのままこの中って訳」


「へぇ~。······って短いな! ってか神様に怒られてって悪者だろ!」


「ち、違うよぉー! ちょ~っと海のお魚食べ過ぎただけだもん! その時に何隻か船が波にあおられ転覆しそうだったけど助けたもん! 間違えてワダツミの事ちょっと噛ってしまっただけだもん!」


 まあそれならそこまで悪いヤツではないのか? まあ変なヤツではあるみたいだが、これ壊しても良い物なのか?


「まあ、壊してやっても良いがクソ爺が帰ってきてからだな、それまで待ってろ、聞いてからにしねえとまた怒られっからよ」


「ええ~、それじゃあそれでも良いけどさぁ。今さらちょっと待つくらい、······あちゃー、まずい奴らがいるじゃない。何年経ったか分かんないけど、アイツらはどこにでも湧いてくるわよね」


「あん? 何が湧くって?」


 水晶がなんか変なことを言い始めた。


「人の魔力と体力を食い荒らす奴だよ? 知らないの? 奴らは取り付いたら中々離れないから、って外にいる子にくっついてるわね、ヤバいわよ、まあ私には関係無いけどね~」


 何がなんだか分からんが。


「ケントー、どこにいるのー」


「ケントくーん」


 おっ、外にいるのって、アシアとエリスじゃん――っ!?


「おい! その変な奴がアシアとエリスにくっついてるのか!」


「そうみたいだね~。相当な数がくっついてるよ~、早く外してやらないとたぶんすぐに死んじゃうよ~」


「マジかよ! 分かった、助けてくるぞ――って上に登れねえじゃねえか!」


「ん~、これ割ってくれたら私に刺さってる剣もあげるし、上に連れていってあげるよ?」


 ちっ! 仕方ねえ! アイツらが死ぬより、クソハゲに怒られる方が全然ましだ!


「よし! 約束は守れよ!」


 俺は砕けた鉄扉の破片を手に取り振りかぶって――!



――――――――――――――――――――――


新作始めました。


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あとがきにここまでお付き合い

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