ポチの53話 謁見するよ
とっても豪華な扉の前に、ポチは立っているんだよ。
扉は豪華なだけでなく、とっても大きいんだよ!
ポチ、扉を見上げてびっくりしちゃったんだ。
「じゃあ、私は先に中に入るから」
「私は控室に戻るわね」
「「はい」」
領主様が謁見の間に入っていき、奥様は控室に戻っていったよ。
ふう、緊張するなあ。
挨拶とかはりっちゃんを真似すれば大丈夫だって言っていたから、ポチはりっちゃんをしっかりと見るんだよ。
「公爵家令嬢リリーナ、並びにポチの入場です」
おおっと、りっちゃんとポチの名前が呼ばれたぞ。
いよいよ謁見が始まるよ。
豪華な扉が開いてとっても大きな広間が、目の前に広がったんだ。
物凄く豪華な服を着た人がいっぱいいて、ポチは何だか目がチカチカしちゃったよ。
一番奥には陛下と王妃様もいて、ケイン様とケイン様に良く似た人もいるんだ。
何となくグレース様のお父さんじゃないかなって思ったんだよ。
絨毯の上をりっちゃんと一緒に歩いて、ちょうど絨毯の切れ目の所でりっちゃんが膝をついたのでポチも慌てて膝をついたんだ。
「両名とも、面を上げよ」
陛下が声をかけてきたので、りっちゃんとポチは顔を上げたんだ。
そうしたら、急に人一倍豪華な服を着た太っちょのハゲたおっちゃんが、りっちゃんとポチと陛下の前に割り込んだんだよ。
あれ?
この豪華な服を着た太っちょのハゲたおっさんから、あの香水臭いおばさんと同じ匂いがするなあ。
「陛下、お待ち下さい。この者どもは大切な謁見を遅らせた罪人で御座います。ここは、褒美を与えるのではなく罰を与えるのが適当かと進言いたします」
おお、太っちょのハゲたおっさんが、陛下に何だかとんでもない事を言ってきたぞ。
ポチはわざと遅れたわけじゃないし、謁見を遅らせる様に指示をしたのって王妃様だった気がするよ。
すると、太っちょのハゲたおっちゃんがりっちゃんとポチの方を向いてニヤリとしたんだよ。
うう、何だかとっても気持ち悪いなあ。
謁見の間はそうだそうだと言う人と、何を言っていると言う人に分かれているんだよ。
すると、陛下が太っちょのハゲたおっちゃんに話しかけたんだ。
「そうか、謁見を遅らせた者には罰を、侯爵はそう申すのだな」
「左様で御座います」
「ふふ、面白い。では、罰を与えるとするか」
あ、陛下がニヤリとしている。
これは何か企んでいる顔だよ。
太っちょのハゲたおっちゃんが、りっちゃんとポチの方を向いてクククって笑っているけど、多分おっちゃんの思う通りにはならないと思うなあ。
「それでは勲章の授与に先立って、罪人に相応の罰を与えよう。今回謁見が遅れた理由は、侯爵夫人並びに娘があろう事か王宮内にてドレスアップしたポチに二回も水を頭から浴びせた事が原因だ。国が呼び寄せた客人に対して行われた非道な行為だ。侯爵はこの場から退場とし、後日行われる晩餐会にも出席させない。直接の罪人である侯爵夫人と娘は、沙汰があるまで屋敷で謹慎処分とする」
「なっ!」
おお、目の前にいる太っちょのハゲたおっちゃんがあの香水臭いおばさんの旦那なんだ。
だから、同じ香水の匂いがしたんだ。
陛下の言った言葉に、太っちょのハゲたおっちゃんが歯をギリギリと噛み締めているよ。
「侯爵、聞こえなかったか? 罪人に罰を与える様にと余に申したのは侯爵だったな。今直ぐにこの場から退場せよ」
「く、くそ……」
陛下が再度促してから、太っちょのハゲたおっちゃんが顔を真っ赤にしながらりっちゃんとポチの事を睨みつけながら退場していったよ。
その間、失笑が周りから漏れていたんだ。
太っちょのハゲたおっちゃんがポチとりっちゃんを退場させようとしたら、逆に自分が退場する事になったからね。
「では、改めて勲章の授与を行う」
陛下が宣言すると、陛下の横にいる白髪のおじいちゃんが前に出たんだよ。
この人は誰だろう?
きっと偉い人だろうな。
「では、これから勲章の授与を行う。まず、公爵家令嬢リリーナとポチは、マスクなどを開発し公衆衛生の発展に寄与した。また、手洗いや清掃の励行を進めた結果、病院での死亡率が低下した。よって、この功績を讃え、勲章を授与する」
「「「パチパチ」」」
係の人が勲章を持ってきて、りっちゃんとポチに勲章がつけられたんだ。
おお、何だかとっても豪華なブローチみたいだよ。
「続いて、ポチに武功の勲章を授与する。ポチは国家指名手配の暴れ黒犬を、傷だらけになり左腕を折りながらも単独で倒したのだ。よってこの功績を讃え、勲章を授与する」
「「「パチパチ」」」
ポチには追加で勲章をつけて貰ったんだよ。
大きいブローチを二つも貰ったら、結構重いんだよ。
「更にポチはエプロンなどを考案し、様々な現場での安全向上に一役をかった。よってその功績を讃え、勲章を授ける」
「「「パチパチ」」」
おお、更にもう一個勲章を貰っちゃったよ。
何だかドレスが大変な事になっちゃった。
「まだ幼いのに一度に勲章を三つももらうだけの才能を目にして、余も身が引き締まる思いだ。この場にいる諸君たちも、日々の研鑽を忘れずに国の発展に努める様に」
「「「はっ」」」
周りの人がお辞儀をしたから、ポチも慌ててお辞儀をしたんだ。
これで謁見は終わりで、りっちゃんとポチは退場する事になったんだよ。
うーん、勲章が重くて服にカブトムシがいっぱいついているみたいだよ。
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