ポチの31話 お出迎えの準備だよ

 という事で、今日は領主様の娘さんが屋敷に戻ってくる日なの。

 だから、ポチとミッケちゃんとリルムちゃんで侍従のお姉さんと一緒に屋敷をピカピカにするんだよ。

 今日のポチは、気合十分でお掃除を行うよ!


「じゃあ、先ずは草取りと虫を取る事だね」

「私、草むしりをやる! ポチちゃん、虫をお願いね」

「リルムも草むしりをやるの」

「分かった。虫はポチにお任せだよ」


 この前屋敷の掃除をした時も、ミッケちゃんとリルムちゃんは虫が駄目だったよね。

 ここは、虫がへっちゃらなポチの出番だよ。

 また枝をお箸みたいにして、ひょいひょいって虫を摘んでいくんだ。

 毛虫は触るとかぶれちゃうし、特に念入りに捕まえないと。

 先週庭師のおじちゃんが丁寧に剪定したから、今週は剪定は不要なんだって。

 だから張り切って虫を集めちゃうよ。


「うわあ、すごい量だね……」

「流石に気持ち悪い……」


 草むしりが終わったミッケちゃんとリルムちゃんがポチの捕まえた虫を見にきたけど、袋にウジャウジャと入っている虫を見てびっくりしていたよ。

 やっぱり屋敷の葉っぱは栄養があるのか、本当に虫がいっぱいなんだよね。

 捕まえた虫は、このまま袋ごとゴミと一緒にポイです。


 さて、次は廊下とか玄関のお掃除です。

 箒で隅々までゴミを集めるよ。

 他の侍従のお姉さんは、窓を拭いたりしているの。

 流石にポチ達はまだ背が低いから、窓拭きはできないな。

 その代わりに、ポチ達でできる場所を綺麗にするのだ。


「ふんふんふん!」

「あら、ポチちゃんご機嫌ね」

「そうなの。新しい人に会えるから、とっても楽しみなの!」


 侍従のお姉さんからも言われちゃったけど、自然と鼻歌がでるくらい今日のポチはご機嫌なんだよ。

 新しいお友達ができるって、やっぱり嬉しいよね。

 ポチは思わず尻尾もふりふりしちゃうよ。

 

 食堂も綺麗に拭いて、テーブルを清潔にするよ。

 因みにポチは清潔にするのが普通だと思ったけど、この世界では普通じゃなかったみたいなんだ。

 だから、ポチがきてから皆手洗いとかをよくする様になったんだって。

 周りを清潔にすると、病気になりにくいもんね。


 高い所ははたきでパタパタやるよ。

 三角巾をマスク代わりにして、埃を吸い込まない様にするのだ。


「あら、ポチちゃん面白い格好だわね」

「あ、奥様! 埃を吸い込まない様にしているんだよ」

「埃を吸い込むと体に良くないけど、吸い込まない様にするにはそういう方法もあるのね」

「本当はマスクがあれば良いけど、ないから代用なんだよ」

「おっと、また新しいアイデアだわ。ポチちゃんのアイデアは有効性高いからね。後でゆっくり聞かせてね」


 おっと、今度はマスクの事で奥様に目をつけられちゃったよ。

 でも、エプロンの事もそうだけど、清潔な事が広まるのはとっても良い事だよね。

 こうして、お掃除も終わったよ。

 後はお出迎えだけだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る