ポチの19話 ギルドでの出張販売

「今日は、ギルドにパンの出張販売をしてくれないかな?」


 今日いつもの様にパン屋さんに行ったら、マーサさんからこう言われたの。

 ミッケちゃん考案のお肉サンドイッチが冒険者に好評で、なら最初からギルドで売ってしまえば良いのではとギルド側から提案があったというんだ。

 凄い、ギルド側からお肉サンドイッチを売って欲しいと言われたんだ。


「ギルドには売店があって、そこで売って欲しいらしいね。ギルドとしても、ポチちゃんの集客力を期待している様だわ」

「よーし、声掛けならポチにお任せだよ!」


 ポチ達にギルドが期待してくれているなら、ポチはその期待にこたえるよ!

 ミッケちゃんとリルムちゃんも、勿論やる気満々です。

 という事で、今日はギルドのお手伝いを兼ねて出張販売です。

 木箱にお肉サンドイッチと他のパンを入れて、いざギルドに出発!

 といっても、ギルドはパン屋さんの目の前にあるんだけどね。

 お金の管理は、しっかり者のリルムがガッチリとやってくれます。


「「「おはようございます!」」」

「おう、今日はよろしくな」


 先ずは、ギルドの売店のおっちゃんに挨拶をします。

 ギルドの売店のおっちゃんは、パン屋さんのおっちゃんみたいな豪快なおっちゃんです。

 ポチ達は、早速パンを売る準備を始めます。

 ギルドの売店の一角を借りて、お肉サンドイッチを並べます。

 皆でお揃いのエプロンと三角巾をして、準備完了です。

 冒険者もお肉サンドイッチを待ち遠しい様子で、売店の前で待っています。


「ポチちゃん、準備できたよ!」

「お金の準備も大丈夫」

「よーし、おっちゃん始めるね」

「おう」


 売店の方も準備ができたので、いよいよ開店です。


「いらっしゃーい。今日はパン屋さんの出張販売だよ。ギルドの売店も寄っていってね!」


 今日もポチは頑張って声掛けをするけど、ギルドで働いている人もいるから声は抑えめにするよ。

 ふふふ、ポチは気遣いのできる犬っこなのだ!


「ポチちゃん、今日はお肉サンドイッチだけ売っている?」

「他にも何点か持ってきているよ」

「じゃあ、どんなものがあるか見てみようかな?」

「どうぞどうぞ!」


 お肉サンドイッチを買い求める冒険者のおっちゃんに混じって、お姉さんの冒険者も何が売っているか聞いていたよ。

 ミッケちゃんの意見を聞いて、パンを複数種類持ってきて良かった!


「リルムちゃんが作ったポーションも売ってるよ。効果抜群だよ!」


 勿論、ギルドの売り物も宣伝するよ。

 リルムちゃんが作ったポーションも置いてあるから、いっぱい買って欲しいなあ。


「ポチちゃん、パンが少なくなっちゃったから補充してくるね」

「はーい」


 開店して僅か三十分で、もうパンが少なくなっちゃったんだ。

 ミッケちゃんが急いでパン屋さんに走っていったけど、道をはさんで向かい側だから直ぐにパンの補充ができるっていいね。

 冒険者もパンだけでなくて、ギルドの売店の物も買っていくよ。

 売店のおじさんも、品物がいっぱい売れてホクホク顔だ。


「ポチちゃん、お待たせ。パンの補充終わったよ」

「おっと、流石はミッケちゃん。早いね!」


 あっという間にミッケちゃんが戻ってきたよ。

 よーし、ポチももっと声掛け頑張るぞ!


「ははは。三人の可愛い売り子が加わると、こんなにも凄いものか!」


 忙しい時間も終わったので。ポチ達の出番は終了です。

 冒険者は朝早くに依頼を受けて出かけるから、お昼前には暇になっちゃうんだって。

 売店の売り上げも上々なので、おじさんも上機嫌だ。


「毎日はできないけど、たまにだったらお手伝いできるよ」

「そうだろうな。ポチちゃん達がいるとどこも売上が上がるから、引っ張りだこだろうな。マーサさんにまた相談しておくわ」

「「「はーい」」」


 ポチ達は、パン屋さんをメインに色々なお店をお手伝いしているんだ。

 だから、ポチ達にお手伝いを依頼するときは、お店の人がマーサさんに相談する事が殆どなんだ。

 ミッケちゃんはたまにパン屋さんの新製品開発で、リルムちゃんは薬屋さんでポーション作りをしているの。

 ポチは、明日は別のお手伝いを行う予定なんだ。


「片付け終わったよ」

「こっちも大丈夫」

「ポチも終わったよ」


 売店の一角から帰る準備もできたので、これからはパン屋さんのお手伝いに戻ります。


「おじちゃん、またね!」

「おお、今日は助かったぞ」


 おじちゃんにも挨拶をしたし、さあまだまだお手伝い頑張るぞ。

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