ポチの7話 お肉屋さんでのお手伝い

「「「おはようございます!」」」

「おはよう。今日も元気だね」


 今日もポチはお店のお手伝い。

 勿論、ミッケちゃんとリルムちゃんも一緒だよ。

 お肉屋さんのお手伝いもあるけど、最初は昨日と同じくパン屋さんのお手伝いから始めるんだ。

 お昼前から、お肉屋さんのお手伝いをするんだよ。

 ポチ、お肉屋さんのお手伝いもとっても楽しみ。


「ポチちゃん、パンを並べ終わったよ」

「会計の準備もばっちり」

「おっと、それじゃあポチも声掛けをするね!」


 いつの間にかお店の準備もできた様なので、ポチも頑張って声掛けをしよう。

 今日も、おっちゃんのパンを皆に買って貰うように頑張るぞ。


「いらっしゃい! 美味しいパンはいかがですか!」

「お、今日も嬢ちゃんがお手伝いか」

「うん、そうだよ!」

「じゃあ、冒険の昼食用のパンでも買っていくかな」

「毎度あり!」

「おう、嬢ちゃんも頑張れよ」


 今日も前の建物から一杯人が出てきたので、声をかけると一杯お客さんがやってきた。

 たまに冒険者の人に頭を撫でられるけど、ポチは皆に声掛けは続けていくよ。

 おお、今日もパン屋さんにいっぱいお客さんがきているよ。

 ミッケちゃんもリルムちゃんも、いっぱいのお客さんで大変そう。


 おや?

 隣のお肉屋さんから、熊のおかみさんが出てきたぞ。

 一体なんだろう?


「ポチちゃん、そろそろ開店するからこっちも手伝ってくれる?」

「わかった。マーサさんに言ってくる!」


 おっと、遂にお肉屋さんのお手伝いが始まるよ。

 マーサさんに報告してこないと。

 パン屋さんに入ると、直ぐにマーサさんがいたんだ。


「マーサさん。お肉屋さんもお店始めるって。ポチ、お肉屋さんの声掛けも始めるね」

「あら、そうなの。ポチちゃん頑張ってね」

「うん、頑張るよ!」


 気合を入れなおして、いざお肉屋さんへ。

 中にはおかみさんと、これまた厳つい熊のおっちゃんが待っていたんだ。

 

「こんにちわ!」

「お、来たな」

「ポチちゃん、待っていたわよ」


 早速おかみさんがポチの所にやってきたの。

 おっちゃんも、ポチの頭をぐりんぐりん撫でている。

 おお、ちょっとくらくらするよ。

 おかみさんは、ポチの手を引いて大きな冷蔵庫の前に案内してくれたよ。

 おお、冷蔵庫を開けたら、お肉がいっぱい入っているよ。


「さて、ここにあるのがオーク肉だよ」

「おお、いっぱいあるね」

「これでもだいぶ売れたんだよ。もっと一杯売らないとね」

「よーし、ポチにお任せだよ!」


 ここはポチの出番だよ。

 よーし、いっぱいお肉を売るぞ!

 ポチは早速店頭に立って、皆に声掛けを始めたよ。


「いらっしゃい! 今日は美味しいオーク肉がいっぱいあるよ」


 皆に声を掛けていると、今度は買い物をしている主婦の皆さんが寄ってきたぞ。

 

「おや? 君は、昨日パン屋さんで声掛けをしていた女の子だよね?」

「そうだよ。今日は、お肉屋さんのお手伝いもしているんだ!」

「そうなのね。じゃあ、折角だからお肉屋さんに寄ってみようかな」

「毎度あり!」


 主婦のお客さんが呼び水になって、どんどんとお客さんがお肉屋さんに入っていくよ。

 お隣のパン屋さんにも、お客さんが入っていくよ。

 よーし、ポチもっともっと頑張ろう!


「いらっしゃい、美味しいオーク肉がいっぱいあるよ。美味しいパンと一緒に食べると、もっと美味しいよ」

「おう、今度は肉屋の手伝いか?」

「うん、そうなの。美味しいお肉があるんだよ」

「そうだろう。なんせ、そのオークは俺が仕留めたんだからな」

「おお、凄い凄い!」

「こうやって倒した獲物の肉が、これだけの多くの人に食べてくれるのを見るのも悪くないな」


 たまたま声をかけてきた冒険者が仕留めたオーク肉だった事が分かったので、ポチは思わず興奮しちゃったよ。

 暫くしたら、お肉屋さんのおかみさんがポチの所にやってきたんだ。


「ポチちゃん、おかげでお肉が一杯売れたの。でね、ポチちゃんの声掛けを聞いて今度は隣の八百屋さんが手伝ってもらいたいんだって」

「ポチは大丈夫だよ。いつからお手伝いをやるの?」

「出来ればこの後だって。ミッケちゃん達がパン屋さんのお手伝いが終わるまで、お手伝いをお願い出来るかな?」

「ポチにお任せだよ!」


 更に臨時のお手伝いも入ったので、今度はお肉屋さんの隣の八百屋さんへ。

 お肉屋さんのおかみさんと一緒に八百屋さんに行くと、おじいさんとおばあさんが待っていたよ。


「ほほほ、こんなにめんこい子が噂の子じゃな」

「ええ、とっても可愛いのにとっても凄いのよ」

「早速で悪いけど、手伝ってくれるかのう?」

「全部ポチにお任せだよ!」


 おじいさんとおばあさんからも頭を撫でられたけど、お手伝いするのは全然大丈夫。

 という事で、早速八百屋さんの前でも呼び込みを始めます。


「いらっしゃい! 新鮮なお野菜がいっぱいあるよ! お肉とパンと一緒に食べても美味しいよ!」

「おや? 今度は八百屋さんで声掛けをしているのね」

「ポチちゃんは本当に働き者ね」

「えへへ、ポチはお手伝い大好きなんだよ!」

「あらあ、とっても良い子ね」


 買い物にきた主婦の人達に次々と頭を撫でられながら、ポチは声掛けを続けるよ。

 お買い物の時間というのもあって、次々に八百屋さんに買い物客が入っていくよ。

 うーん、何だか昨日よりも商店街に来ているお客さんが多いような気もする。


「ポチちゃん、パン屋さんのお手伝い終わったよ!」

「ポチちゃん凄い」

「あ、ミッケちゃんにリルムちゃん。八百屋さんのおばあさんに挨拶してくるよ」


 お客さんが少なくなったタイミングで、ミッケちゃんとリルムちゃんがポチに声をかけてきたよ。

 どうやら、パン屋さんのお手伝いは終了なんだって。


「おばあちゃん、今日のお手伝いはもう終わりにして大丈夫?」

「おお、こんな時間になっておるね。今日は助かったよ、これを持っていきな」

「わあ、おばあちゃんありがとう。また明日も声掛けをするね」

「ああ、待っとるよ」


 おばあちゃんに挨拶をしたら、お野菜を一杯貰っちゃった。

 そうだ、お肉屋さんのおかみさんにも挨拶をしないと。

 ミッケちゃんとリルムちゃんと一緒に、隣のお肉屋さんに向かったよ。


「おかみさん、お疲れ様」

「ポチちゃん、今日は本当に助かったよ。明日も来るのか?」

「うん、パン屋さんと八百屋さんを手伝うの!」

「そうかい、頑張りな。これは今日のお礼だよ」

「わあ、ありがとう!」

「「ありがとう!」」


 お肉屋さんでも、オーク肉をおすそ分けしてもらっちゃった。

 ミッケちゃんとリルムちゃんとお礼を言って、孤児院への帰り道についたよ。


「ポチちゃんって凄いね。やっぱりポチちゃんみたいな声掛けは私には出来ないよ」

「リルムも。ポチちゃんの才能だよ」

「えー、普通に声をかけているだけだよ。特別な事は何もやっていないよ」

「だからお客さんが一杯来るんだね」

「下心なし」


 みんなで話しながらの帰り道。

 そんな事をお話したよ。

 明日も沢山お客さんが来てくれたらいいな。

 因みにポチ達が商店街の人からいっぱいお土産を貰って、シスターさんもとても喜んでくれたよ。

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