忠犬ポチは、異世界でもお手伝いを頑張ります!
藤なごみ
ポチの1話 忠犬ポチ、ご主人様との別れ そして異世界へ
「うー、わんわん! (こっちにくるな! りっちゃんに近づくな!)」
「ガルルル……」
「ポチ、危ないよ。こっちに来て」
ポチはポチ、豆柴の女の子なんだ。
何故か普通の豆柴よりも更に小さいけど、いつも元気いっぱいです。
ポチはご主人様のりっちゃんといつも一緒で、寝る時も一緒なの。
りっちゃんはとっても優しいので、勿論ポチもりっちゃんの事が大好き!
いつもポチの頭を優しく撫でてくれます。
りっちゃんは体が弱いのでいつも車椅子に乗ってるけど、りっちゃんが散歩する時はいつもポチと一緒に近くの公園に行くんだ。
りっちゃんとポチは、近所のおじさんおばさんや他のワンちゃんとも仲良しだから、いつも声をかけてくれてポチの頭を撫でてくれるんだよ。
今日はちょっと寒いの。
桜ってお花が咲くのがあと一ヶ月ってりっちゃんが言っていたよ。
桜が咲いたらりっちゃんとお花見するんだ。
お花見をすると美味しい物が食べられるから、ポチ楽しみ!
いつもはりっちゃんのお母さんが車椅子を押すんだけど、寒いからって暖かい飲み物を買ってくるんだって。
そうしてポチとりっちゃんだけになったら、突然大きな黒い犬がやってきたんだよ。
いつもは気にしないけど、その黒い犬の目が血走っていたんだよ。
これは危ないと思ったね、ポチの直感だよ。
ポチはりっちゃんの前に立って、黒い犬からりっちゃんを守るんだ!
「ガルルルル……」
「わんわん、わんわん! (こっちにくるな!)」
「ポチ……」
りっちゃんが不安そうにポチの名前を呼ぶけど、ポチは怖くないよ。
こんな犬なんて、ポチが追い払っちゃうんだから。
「りっちゃん! ポチちゃん!」
「ママ!」
お、りっちゃんのお母さんが気がついてこっちに走ってくる。
りっちゃんも気がついて、りっちゃんのお母さんに向かって叫んでいるよ。
でもポチは黒い犬から目を離さないよ。
黒い犬から目を逸らしたら、ポチの負けなんだ。
「グルルル……ガウ!」
「わんわん! (りっちゃん危ない!)」
「きゃあ!」
突然、黒い犬がりっちゃんに飛びかかろうとしてきたんだよ。
ポチは黒い犬に向かってタックルしたけど、ポチは小さいからあまり効果ないみたい。
でも、りっちゃんから黒い犬を少し引き離せたぞ。
「ガウ、ガウ!」
「わんわん。(こいつめ、離れろ!)」
「ポチ! ポチ!」
ここからはあまりよく覚えてないなあ。
あの黒い犬に襲われて、夢中でやり返していたっけ。
そこら中引っ掻かれたり、噛まれたりされちゃったんだ。
でもポチだって、黒い犬にやられっぱなしじゃないよ。
黒い犬の顔を、思いっきり噛みついてやったんだから。
「コラー、ポチちゃんから離れろ!」
「ギャウン」
「ポチ! ポチ!」
りっちゃんのお母さんが投げたお汁粉の缶が、ちょうど黒い犬の頭に当たった見たい。
黒い犬は悲鳴をあげたら、どこかに逃げていっちゃった。
「ポチ! ポチ!」
「ポチちゃん、しっかりして」
うーん、りっちゃんとりっちゃんのお母さんが何か言っているけど、痛みも無くなってだんだん眠くなっちゃった……
すぐ……起きる……から……大丈……夫……だ……よ……
あれ?
ここどこだ?
周りが真っ白で何もないぞ。
いつものおうちのベットじゃないぞ。
それにりっちゃんはどこだろう?
ポチの周りにりっちゃんの匂いが全くしないぞ。
「起きましたか? ポチ」
おっと、急に目の前に布みたいな物を着ている女性が現れたぞ。
あなたはだあれ?
「私は神様ですよ」
そういえばりっちゃんが天国には神様がいるって言っていたなあ。
じゃあここは天国?
「ここは迷える魂がくる場所です。貴方が言う天国に近い所ですね」
そうなんだ。
じゃあ、いつになったらポチはりっちゃんのお家に帰れるの?
「ポチ。貴方は主人を守り、その結果死んでしまったのです。残念ながら、元の世界には戻ることが出来ません」
えー、ポチ死んじゃったの?
もうりっちゃんに会えないの?
うー、涙がポロポロ出てくるよー。
ポチ、りっちゃんに会いたいよー。
「泣かないで、ポチ。貴方はとても勇敢な事をしました。本来なら新しい犬として転生するのですが、功績を讃えて新しい世界に転生する事になりました。そこで新しい主人と巡り合えるでしょう」
そうなの?
うーん、でもご主人様はやっぱりりっちゃんがいいなあ。
「大丈夫ですよ。貴方にとって、とっても素晴らしい主人に出会えます。それは約束しましょう」
本当?
りっちゃんに会えないのはちょっと残念だけど、ポチ頑張ろうかな?
そうしたら、またりっちゃんに会えるかな?
「貴方にとってきっと良い世界です。頑張ってくださいね」
神様がそう言って何か呪文のようなものを唱えたら、ポチまた眠くなっちゃった。
次に起きたら、今度は誰に会えるのかな?
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