掌編小説・『天使』

夢美瑠瑠

掌編小説・『天使』

(これは、10月4日の「天使の日」にアメブロに投稿したものです)


掌編小説・『天使』



 僕はスマホは持っているが、使いこなしているとは到底言えず、機能のうちの98%くらいは眠ったままだと思う。よく人間の脳みそのうちの大半は潜在的な能力が解発されていない、とかいうが、その話に似通った、宝の持ち腐れというような按配である。

 僕はいわゆる「発達障害」めいた人格ではないかと自分で疑っていて、どうも幼稚未熟なキャラクターです。いまだに近所の人とかからは子ども扱いされているような感じで、たぶん白痴とかそういう類の人物と思われているのだと思う。

 が、発達の障害というからには、十分に本領が発揮されていない脳の部分が多分あって?何かのきっかけで適当な刺激を受ければ未熟だった部分が成熟して不適応だったり逸脱した行動だったり、「生きるのに不自由」な人生の要素が改善される可能性もあるかもしれない…

 基本的にオプティミストなので、何でも楽観的に希望を持ちたくなる方です。で、いろいろと日常的な困難は多いが、なんとか「汝を玉にする」「艱難辛苦」だとポジティヴに受け止めて乗り越える努力をなすモチベーションにコンバージョンすべく努めている。

 最近に、カパーラヴァティーというヨガの呼吸法を始めて、これは呼吸法の本に「頭をピカピカにする呼吸法」とか紹介されていた、つまり身体全体をリフレッシュして、活力を取り戻す、リセットする、そういう効能がある呼吸法らしい。基本的に鼻呼吸で、目にもとまらぬ、という感じに速く強く呼吸をして酸素をたくさん取り入れるのがコツです。また動画サイトとかで正しいやり方を研究してみようと思う。

 先述のようにポジティヴで向上心があるので、いろいろと自己変革目指して不断に努力を重ねていて、そのかいあってか最近何だか体調とかその他調子が良くなってきた感じもある。

 顕著な違いは「声が良くなった」ことです。この年になって声変わりというのも何だかタイミングはずれているが、これも先述の、「発達していなかった精神の要素」が遅蒔き乍ら成熟してきた?そう解釈できなくもない…自分ではそう解釈したい。

 人生はいつでも今から、ここからなので、ヨガの調身、調息、調心とか、昔に修行をやりかけていたいろんな心身の革命みたいなテクニック等をまた研究して再チャレンジしてみたいと思っている。 


 スマホから話が逸れたが、ほとんどまっさらに近いスマホを、それでも僕は四六時中使ってはいて、それは「ライブ配信」をしているアプリにハマっているからなのです。詳細は端折るが、これは要するに女性の部屋からスマホを介してFTFの交流ができるというものです。ただ、視聴者は不特定多数で、顔は見えない。

 もう1年くらいそのアプリに四六時中入り浸っていて、いちいち覚えられないほど、無数の女性と知り合いになった。人間同士の生の交流だから喜怒哀楽毀誉褒貶が入り乱れて百花繚乱多岐亡羊?の様相を呈しているのですが、そのアプリの中で、最近にすごくかわいい、なんというか珠玉のような?類稀な個性の女性に行き合った。もちろん「ライバー」には美人が多い。人気があればなおさらです。が、ただ美貌というのならもっと華やかな容姿の人も多いのですが、その人の美しさ、魅力にはいわく言い難い、不思議なユニークさがあった。顔全体から何とも言えない優しいニュアンスが滲み出ていて、その優しい感じ、内面の美しさというか性格の天真爛漫さ、清らかさが、深いまなざしや表情の愛らしさとしてあらわれていて、顔全体が素晴らしく美しい構成体として輝いている、そんな感じだった。天使のような、とよく言うが、まさしくこの人こそ清純なエンジェルそのものだ、僕の眼にはそう映ったのです…

 中国の漢詩、「長恨歌」には「煙鬢花顔金歩揺」という表現で世界三大美女の楊貴妃のことを称えていて、これは「雲のような鬢(耳の上の髪)、花のかんばせ、金色のかんざし」という意味ですが、その「天使」のライバーさんの風情はそんな風ななんだか夢の中で見るような、幻想的な優美さだったです。話すことも、話し方も愛らしくて本当に天使が実在したらこういう風にこういうことを話すに違いない…大袈裟ですが、それほどに素敵な印象でした。

 

 「天使のような」とか「妖精のような」という形容はわりと陳腐というかありふれていて、使うのが恥ずかしいような感じもありますが、そういう形容に文字通りにふさわしい女性と遭遇した、邂逅した…この現象は、一期一会というか卒啄同時の機というか、つまり自分が成熟してきて女性の中の精神性に来歴する美しさが、そういう美質や雰囲気を理解できるようになってきた、それでそうした女性が寧ろ奇跡のごとく、天啓のごとく現れた…そういう風にも解釈できるのです。


 ネットの時代になって様々な刺激や情報を部屋に居ながらにして得ることができる…そういう時代になって、畸形じみた発達障害の人もようやく新しい人生への燭光がほのみえてきた…もしかしたら本当にいつか自分だけの「天使」とも巡り逢えるかもしれない…天性のオプティミストは能天気にそう思うのでした。

 

 <終>


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る