50話 怨念の不死兵
セシリーとターギーは、男が生成した
「この程度、造作もありません」
「
「っ! ‥‥‥そ、そんなこと言われずとも承知しています!!」
二人はまだ余裕そうであった。
「――ここへはどうやって来たんだ?」
ヒロトはアズサに尋ねた。"敵の頭を潰す"と言っていたので、なぜ敵の頭がここに居ることを特定できたのかが不思議だった。
「ウチは勇者一党の一人として古代魔法を扱っているが、本分は魔法と
「お、おぉ‥‥‥。研究者か。もしかして君、王国でトップクラスに強いんじゃ‥‥‥?」
スケールの大きいことを簡単そうに話すアズサにヒロトは少し怖じ気づいた。しかし、アズサは首を横に振った。
「レグリス王国だけでみても、不本意ながら恐らく勇者の方が上手だろう。古くから国に伝わる伝説の聖剣を数十年ぶりに自分の鞘に納めることを成功させた男だ」
ヒロトはその"聖剣を抜いた男"とやらに覚えがあった。先日、ヒロトの屋敷に一人で訪れた勇者と名乗る男――というよりは青年である。
「やたらと自分の実力に自信のあるヤツで、あまり好意的な印象ではない。貴殿ら魔王軍幹部を三人まとめて倒せるなどと
「勇者一党ってのはなんだかギスギスした雰囲気だな‥‥‥。けど、確かに勇者はめちゃくちゃ強そうだったし、勇者の言葉も強ち間違いじゃないんだろうな‥‥‥」
ヒロトの弱気な態度にアズサは目を丸くした。
「幹部殿が弱気になられては困る。あのナルシストを何度か葬ってもらわなければ」
「人類と魔王軍と、どっちの味方なんだ‥‥‥」
セシリーとターギーが思いの外
「僕の目的は魔王軍幹部に復讐することだ。お前たちに用はない」
黒い影から、悍ましいオーラ。セシリーとターギーは一時撤退を余儀なくされた。
影から現れたのは、下位
一言で言うならば、男が放っていたのと同じようなオーラを纏っている。
「でかくなったところで状況は変わるまい!」
「こちらも一気に畳み掛けます」
「ちょっと待て」
ターギーとセシリーが戦闘を再開しようとしたところに、アズサが割って入った。
「ここからはウチも助力させてもらう。幹部殿は動かぬようなのでな」
「なんだと‥‥‥? 人間ごときが俺と並んで戦うなど――!」
ターギーがまた怒りを爆発させそうになったのでヒロトは慌てて止めようとする。
「ターギー、今は喧嘩してる場合じゃないだろう? 協力してくれ。ほら、これも労働労働」
「くっ‥‥‥! 金のため!!」
上位
――男の合図で上位
即座に距離を詰める。コンマ一秒程度のこと。セシリーの目はその動きに慣れており、すぐさま前方に
アズサにより、
同じタイミングで、セシリーは強力な刃を走らせる。炎と刃によって、範囲内に居た
攻撃を免れた
「礼を言おう」
「お前のためじゃない、金のためだ!」
「二人とも、次が来ます!」
影から再び上位
* * * * *
セシリーらの戦闘を見守る俺。
互いに初対面の状況であるにも関わらず、上手く攻撃を組み合わせている。
まず、あの中で一番上位
セシリーが先陣を切って、それに合わせてターギーと少女が対応している。ターギーは元々の身体能力が高いし、少女は"古代魔法"とかいうなんだか凄そうな攻撃を行う。
絶え間なく現れ続ける上位
ただ、気になることが一つ。上位
なんとなく、景色が不自然な気がする‥‥‥。
「ん?」
ふと俺の目に入った
あのオーラは、一体――
「それは怨念だよ」
背後から男の声。信じがたい事象に悪寒が走る。何か勢いを感じた俺は、咄嗟に全身を
その直後、鈍い鉄のような音が響く。
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