43話 上位不死兵
黒いフードの男は、高く積まれた
「僕に抗う生命には、より酷な死を与える‥‥‥」
地を彷徨う
「融合‥‥‥上位
男が唱えると、まとまった
五体の
上位
「弱き醜き、驕り高ぶる人間よ。大人しく"死"を受け入れろ」
上位
それを、影から一人の女が眺めていた。
「"あのお方"の力を得ているのだから、生半可な結果じゃ許されないわよ?」
「さっきから"あのお方""あのお方"ってうるさいな。これは僕の――死神の力だ。心配しなくても僕が全てを支配する」
* * * * *
-ミーリア一行-
「あなたは、本当に回復術師なのですか‥‥‥?」
ミーリアを前にするコニーは、彼女を疑うほどに感嘆していた。そこには畏れも含まれていた。
ミーリアは笑顔で頷いた。
「ええ、紛れもなく」
渓谷を挟んだ向こう側の景色に、コニーは冷や汗を頬に伝わせた。
「自分には‥‥‥、悪魔にすら見えてしまいます‥‥‥」
渓谷の向こう側では、本来癒しを意味するはずの鮮緑の巨大な魔法陣が上空から凄まじいオーラを発し、
兵士らはそれを唖然と見つめることしかできなかった。
治癒するどころか滅ぼしているのだから、コニーが彼女を悪魔と形容するのも無理はない。
「私の力は聖なる魔力によるもの。本来癒しを与えるそれも、
ミーリアはそう言った。背景で殺伐としたことを行っていながら笑顔でいる彼女を、コニーはなお畏れた。
「は、はい‥‥‥」
一方、コニーの背後では何やら兵士たちがざわついていた。
「あいつ、ミーリアさんに君付けされてるよ」
「なんと羨ましい‥‥‥!!」
「俺も呼ばれてぇ!!」
「ふふふ。賑やかですね~」
ミーリアは微笑んだ。
空気が穏やかになる中、コニーだけは暗い表情だった。自分にすべきことはないのか、と考えていたのだ。
あの日、ダリアに命を助けられて、守ることの大切さを知ったコニーは、ダリアの元で兵士として戦うことを決めた。ダリアは言った。
"意味のない人生なんてない。一人一人が意味を持ち、何かの役に立って生きている"
本当にミーリア一人でこの任務は終わってしまうのか。
改めて、コニーは渓谷の向こう側を眺めた。変わらず、巨大な魔法陣が
――起こり得るはずもないか。
勇者一党が居る以上、自分にやることはない。彼らは英雄で、自分たちは能のないただの兵士だ。
コニーは背後の兵士らの方を向いて、談笑に混ざろうとした。
――
コニーは身体に異変を感じた。なぜか自ずと腰の剣に手を当てていた。
なぜ、俺は攻撃態勢に入っているのだ?
今度は身体が傾き出した。何もないはずの背後に向かって剣が流れる。
それでも止まらない自分の動きに、コニーはついに羞恥の念に駆られた――――。
――――気づけばコニーは、自分の知るそれよりも巨大な
「なっ‥‥‥!?」
周囲は
そして、兵士が騒ぎ出した。
これにはミーリアも驚かずにいられない。
「私の魔法陣を突破したのですか?」
ミーリアはコニーが斬りつけた
コニーは
自分は戦うことができる。何よりそれに喜んだ。しかし――
「早くここから逃げてください!」
危機を思わせるミーリアの声。コニーは目の前の
そして、
「う、うわぁぁぁぁ!!!!」
思わず目を瞑って尻餅をついたコニー。
――目を開けると、その
ミーリアの回復魔法によるものだった。
「上位
ミーリアは微笑んでいなかった。
勇者一党の一人であるミーリアが余裕のない表情なので、余程の危機であることをコニーは理解し、慌てて立ち上がった。
「兵士さんたちには、決してこちらに戻ってこないよう伝えてください」
「わ、分かりました‥‥‥!」
コニーはすぐに兵士の後を追ってその場を離れた。
兵士が皆退避したことを確認したミーリアは渓谷の向こうを振り返った。
案の定、上位
「これは少し危ないかもしれませんね‥‥‥」
ミーリアは案じながらも、上位
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