日本の昔話ー異次元緩和

菅江真弓

第1話

 昔、金融の日銀という村で秋だというのに雨ばかり降って、堤が切れるかもしれないというので村人が心配して毎日番をしておりました。

或夜の真夜中に川の向こうの政治や産業からしきりに「やろうかあ、やろうかあ」と叫ぶ声がしました。

 一同は不思議に思うばかりでしたが、毎晩のように「やろうかあ」の声はやまず、しまいには怖くなって、一人の番人がかん高い声で「やれるもんならやってみい」と返事をしてしまいました。

そうするとたちまちマネーがおしよせて、見ている間に金利が全然上げられなくなったということであります。

それで今でもその洪水を異次元緩和と言っているそうであります。

いつのことであるのか私どもにはとんとわかりませんが、この村の附近にはほかにもそういう話が村々にあるそうです。

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