春風
桃色の春風に靡かれた君の黒髪を余所目に電車でうたた寝する俺、俺の顔を横から覗く君、黒髪が俺の手にかかる、「寝てるの?」と君、「眠い」と俺、電車の振動と柔らかな君の声が今心地よい、俺の頭を撫でる君、君がにへへと笑う、「眠い」と再び俺、君は太腿をポンポン叩き「膝枕する?」と君は言う、「人居るよ」と俺、「誰も乗ってないじゃない」と君、暫くの間、電車は揺れる、「分かったよ」と根負けする俺、にひひ、再び笑う君、横になる俺、君が俺の顔を見るため下を向く、君の髪がこそばゆい、今はまだ春風が流れている。
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