第8話 逆襲シエラベール

 シエラベールの仕組んだ内紛は僅か二人のアンブロシアの剣帝と魔将によって制圧された。


 今回シエラベールは、剣聖3人と重装騎兵30騎・魔女1人を失った。


 そのうち魔女は、生捕りになっており彼女の証言によって今回の黒幕が明らかになっていた。


 フランジア側としては、宣戦布告の大義名分が明確となった状況なのである。


 首都レドナでは、シエラベールの侵攻を防ぎ、市民に一人の死傷者も出なかった事は、殊更評価され、市民の信用を得た形となった。


 「セイラ殿下、只今帰還致しました。無事敵軍を撃退致しました事をご報告いたします。」マリベルが淡々と報告する。


 「ありがとうございます。何より無事な帰還、安心しました。」セイラはうれしそうである。


 マリベルは続ける。「殿下のご判断でファンタム殿を援護に回して頂いたお陰で命拾い致しました。」


 「いいえ、恐らくはマリベル殿なら一人でも戦果を挙げたものと思います。痛手は負ったとはおもいますが・・・」ファンタムは、新入りの准将を讃えた。


 良い雰囲気である。


 一方、城の職員の雇用については、今回のシエラベール撃退以来国民の信頼が得られた事から上手くいっている。


 ようやく内政にとりかかれた状況である。


 「ならば、今度はこちらからシエラベールに乗り込んで、格の違いを見せつけなくてはならないですね。」シェスターは微笑んでセイラを見つめた。


 「敵の戦闘準備が整う前に攻め込みましょう。」シェスターは、久しぶりのセイラと二人で旅が出来る事を楽しみにしているふしがあるのだ。


 翌日、準備を整え転移魔法陣に入りシェスターは魔法を唱える。


 一気にセイラとシェスターはシェラベールの首都アバンシアの主城上空に転移。


 「ダイアモンド・フレア・バースト」シェスターの氷属性の高出力攻撃魔法が主城の結界をいとも簡単に破壊した。


 敵側の魔法師たちが慌てて迎撃に出てくるが、空中戦では騎士や対魔法師用の特殊兵団は使えない。


 「クリティカル・フリーズ・インパクト」無詠唱かつ超高速単体魔法は、敵魔法師の反撃の隙は与えない。


 シェスターの魔法は、高速で射程も非常に長くしかも単体に対して致死的な威力を誇る。


 上空は独壇場である。


 数分もせずに魔法師部隊は壊滅、セイラはシェスターの胸に抱かれながら、未来の夫となる男性の強さに感心していた。


 ここで満を辞して魔女が迎撃に現れる。


 流石の高出力魔法がセイラ達を襲う。


 「ファイナル・ヘル・ブラスト」魔女の最上級の炎属性魔法である。


 「ホーリィ・シャイン・フィールド」セイラが光の魔法障壁を展開。


 シェスターはその高エネルギー攻撃の中央に練り上げた高速高出力の氷の矢を放つ。


 「クリティカル・フリーズ・インパクト」炎の高出力攻撃を貫いて魔女の左肩に命中。


 魔女は落下して行った。


 このまま、有無も言わせず上空から城ごと高出力魔法で壊滅させることも出来るが、戦略的価値が低くなる。


 人道的にも敵国民の反感を買うだろう。


 城の中央の中庭に着地、すぐに対魔法兵団に囲まれる。


 シェスターは、細剣に高出力の魔力を付加する。


 セイラを抱きかかえたまま対魔法師、重装歩兵を薙ぎ払っていく。


 シェスターは、剣術にも精通しており、マリベルと同じ剣帝の称号を持っているのである。


 たった一人で玉座に向かって進んで行く彼はまさに鬼神のようである。


 中途半端な攻め方では、最強の魔法国家アンブロシアの大賢者として面目が立たないのだ。


 そしてセイラとシェスターは遂に玉座の前にたどり着いたのだった。

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