第4話 意外な恋愛事情。

「ないの? 今まで1度も? それに…興味,ないんだと思ってた」

「でしょうね」


それくらい,知ってる。


「じゃあ,なんで1日?」

「何でって,何。今日たまたま空いてたから,そう言っただけ」

「そうじゃなくて…俺,一花とならなれると思うけど,友達」


食べ終わって出た紙のごみを折り畳ながら,私は若槻の顔をみた。

何の話?


「また誘ってよ」

「友達って,そうゆうものなの?」


定義なんて知らないけど,そんな風になるものなんだろうか。


「俺,女子の友達ってあんまいないんだよね」


私も,見たことない。

あんなに好かれているのに,女子の誰かと一緒にいる。

そんな光景は少なかった。


「何か,最初に話す段階で,俺と温度差がある気がして。彼女がいた経験もないのに,求められてる物が多い気がして」


彼女。


「いたこと,ないの?」


嘘でしょ。

信じられないと,眉が寄る。

どこで生息しようと選び放題のはずなのに。


「じゃあ,ど…」

「ちょっ…」

「……ごめん」


口を塞がれて,取り敢えず謝った。

真っ赤な顔の,若槻がいる。

これ,見られたら誤解されるな。

私は冷静に,周りに人がいないかを目だけで確かめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る