11

やべえ、見つかった!


 禁止されているのに森に一人で入ってゴブリンにボコボコにされましたなんて言えない。できれば誰にも見つからず家まで帰りたかったが、なんでこんな村の端にこいつはいるんだ。

 追及を逃れるために、さっさと会話を切り上げてきたが、絶対にバレてる。そもそも村の外側から来た俺が、どこから来たのかなんて明白。加えてこのボロボロ具合だ。


はあー、やだなぁ。バレたら母さんにどやされるんだろうなぁ……


 そんな気持ちで家に帰る。幸いその後、誰にも見られることもなく家に帰れたが、父にはバレる。


「あまり無茶しちゃダメだよ」


 そう笑って許された。父さんも昔はこうして無茶をやっていたそうだ。前世でいうところの若いころはヤンチャしてました、というやつだろうか。


「父さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


「ん? なんだい」


「ゴブリンって何匹くらい倒したら、レベル上がるの?」


「ああ」


 やっぱりこいつ、森にいってゴブリンと戦ってたな、みたいな顔をする。


「そうだね、大体10匹前後かな」


「え?」


あれを10回?


「普通は大人と一緒に戦って、最後の一撃だけ貰うんだよ。そうやって介護されてみんな最初はレベルをあげるんだ」


え? なにそれずるくない? 前世でいうパワーレベリングというやつか。


「あの、父さん……」


「ごめんねジャクソン、僕は森に出ることを禁止されてるから一緒にはいけないんだ」


なんでだー!


「でもそうやって手に入れた経験値では本当の強さは入らないって言われてるよ。だから一人で倒すことで何か新しい強さを手に入れるかもしれないから、頑張ってみて」


俺は別に仮初の強さでもいい……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る