俺の夏休み 8月3日 3日目でいきなり力技に来る、流石、変態は頭の作りが違うらしい

 現在、自称・彼女のタツが、夜に訪れて来てめんどくさい事を玄関で言い出している最中だ。


『こんばんは。藤原警備です。最近眼鏡、もしくはアイマスクをかけた不審者が出るので24時間体制でヒロ君を守る様に龍虎さんに依頼されたんですが…』


 誰にだよ。いつもの対魔忍スタイルに水中ゴーグルを付けた不審者、タツが何者かのふりをして自己完結依頼の説明の為に玄関にやってきた。


「いりません、帰ってください、さよなら、また明日」「あっちょっ」バタン


 昼は昼で一緒にいて、夕飯はウチで飯食って、9時までダラダラしてるから帰れ、じゃあなって別れた1時間後の、夜10時にまた来た。

 良く高校生カップルは24時間一緒にいたいね♥なんて言うけど、付き合いが長すぎるしちょっと今たてこんでるから…


 てゆーか寝たいんだよ、ゆっくりとさ…最近疲れてるから。

 疲れもあり、布団に入ったらすぐ眠りに落ちた。


 夢を見た…幼馴染達が居ない世界…

 中学で不貞腐れることなく、普通に高校に通って友達もいる世界。

 学校の教室…放課後?

 目の前には何故かイクエちゃんがいた。

 イクエちゃんは眼鏡をかけておらず、髪を後ろに結び、前髪を揃えた髪型の為、顔がしっかり見えた。

 何となく知っていた。イクエちゃんは美人何だよな。


―――あぁネタキュン。素敵…告白受けてくれるかな…―――

「根多君…一年の時から好きだったの…」

「あぁ、俺もだよ…ずっと運命を感じていた」

「嬉しい♥ネタキュンっ呼んでいい?」

「ああ、イクエキュン♥」「フフフ♥」「アハハ♥」

―――やった!♥付き合えた!♥ネタキュン呼びしちゃったあぁ!♥私は家に帰って枕を抱きしめながらもんどりうった♥自分で作ったネタキュンぬいぐるみの口についついチュー、舌まで入れてしまった。早速、官能小説を書いた。右手のペンと左手の指が言う事をきかない♥それから一週間後、気付けばネタキュンはワイルドのなっていた―――


 いやおかしいだろう、ぬいぐるみに舌?それにどこの世界に付き合えた直後に官能小説書くんだよ…


「なぁイクエ、今日うち来いよ。。。」

「うん、良いよ♥ご家族はいるの?挨拶と、後、お菓子買ってかなきゃ」

「いや、今日、家族はいない。。。分かるよな?この意味?」

「え?…あっ…♥…うん♥ネタキュンなら…いい…よ…」


 何だこれ…展開早過ぎだし、病変し過ぎだろ…。後、高校生は家に行くのにお菓子は買っていかないんじゃないんかな?知り合ってから思うけどイクエちゃん、たまにやたら大人びてる時あるんだよなぁ…


 いや、うーん。この変な明らかに想像の産物のストーリー…俺は知ってる…イクエちゃんこと、アナテラスの夢介入だ。


 先日、私が見てるものを見せるっていうからどうやって?と思ってたらまさかの寝た瞬間に無理矢理見させられたからなぁ…触手まみれのアナテラス、それを食って腹の中で吸収する俺…意味わかんね。

 この夢の介入、マジでやめて欲しいんだ。

 起きた時の疲労感半端ないから。人間を食ってエネルギーを吸うってメッチャ疲れるんだな…する事は一生無いと思うけど…


―――そしてネタキュンの家へ…ネタキュンの家は男らしい殺風景な部屋、だけど―――


「じゃあさ、さっそくしゃ○れよ」

「うん、好きだもんね♥これ」

「イクエの口が好き。。。なんだけどな」

「ネネネネネタキュン♥♥♥♥」

「うおぉぉ!イクエの口でイクえの口でイクエノイクエノイクエッウッイクッエッ!♥」


 一つ言いたいのは俺こんな馬鹿なこと言わないから…何だよな、イクッエッって。でも気分は賢者モード…ん?

 しかし夢とはいえリアルだなぁ、リアル?…

 身体が動かないが…股間に違和感…グッ動け身体が…どうでも良くなってくる…何かメンタルがどんどん賢者モードに…まさか…

 

 徐々に視界が自分の部屋に戻ってくる…やっぱりだ…既に侵入を許していた…藤原警備は一ミリも要らないが…いや、多分だけど藤原警備は鷹のように室内を窓から見ては、家の周りを飛び回っている筈…言うことなんかろくにきかないから…しかし確かに要らないとは言ったが役に立たないな、藤原警備…


 俺の掛けている、夏用の薄掛け布団の中にいた…身体を上手くたたみ俺に密着している、外から見ればまるで俺が一人で寝てるかのような膨らみ。


 考えられるのはタツを見送った瞬間入ったんだろうな、どっかから…なんつーか虫みたいだな。


「ゴプッンゴンゴ…ゴクン…ゲフぅ……ネタキュン…シー…だよ」


 大声で叫んだら藤原警備が雪崩込むんだろうなぁ…てか、ゴクンってまさか…


「ネタキュンの魔素、貰ったわ。凄く…凄く濃厚なエネルギー…これで私はまた、当分闘える…ただ、知ってしまった…ネタキュンの魔素を…もしネタキュ素が枯渇してしまったら…ゴクリ…私はどうなってしまうのか…ハァハァ…ネタキュ素♥」


 どうにもならないし、これ以上は不味い…やめて欲しい。

 俺は今、彼女は複数人にNTRれ、自分は3股。若者の性の乱れ、ここに極まっている。

 しかも正式には童貞。意味が分からない。

 それと『ネタキュ素』ってパッと聞き『ネタクソ(根多糞)』って、悪口みたいだからやめて欲しい。


「とりあえずもう来ないでくれるかな?」


 すると右手をそっと頬に当て、まるで居なかったかのようにスッと消えた。


―――流石、ネタク素フル充電。藤原悪魔の警備網を余裕で超える速度と絶気だわ…それでね、今日は色んな事があったの…―――


 姿は消えたが話を続け始めた…あと、ネタクソって言ったよな、今。


「いや、流石に口は不味いよ。登校日にイクエちゃんとどんな顔で会えば良いんだよ、こんなんばっかりになったら嫌いになっちゃうよ」


―――それはダメ、嫌いになってはいけないわ。もしネタキュンが私を嫌いになれば…地球が滅びるわ、お願い…もし嫌いになってしまったら私は…ネタキュンの妄想凌辱による後遺症で登校日に廃人になっているわ―――


 いや、極端だろ。それは。タツといい、俺の周りは一方通行が多過ぎる。妄想なら大丈夫だよ…


―――そんなこと言わないで…もう一度…グガッ!?悪魔…後ろに…何故…しまっ…ネタキュの…負のエネルギ…乱れが…ば…れ…―――


 何か俺のせいにみたいな言い方で、アナテラスは消えた。

 多分藤原警備に捕まったんだろう。これ夏休みずっとやるのか?

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る