第54話・ゲームライフ

 イベントが始まろうとする前、オリハルコンは結局完成しなかった。ただオリハルコン★2はたくさんある。何かに利用できないか考える。


 イベント開催日は決まった。一週間期間で期間中のログインをすると、聖国ブレイブへと訪れて、イベントを行う内容。


 期間中の聖国はお祭りの日であり、他国の者を含めて客を大歓迎している。


 もうすぐ行われるこのイベント前に、何かできないだろうかと考え、まずは神様達の像をオリハルコンで作った。


 武器は無理だが、小物なら問題ないらしく作れたが、効力は微々たるもの。ハンマーなど作るが意味が無い。


「んー手詰まり」


 アッシュは考え込み、オリハルコンを吸収するナイトとタロウ。そう言えばそろそろタロウは進化しそう。ナイトもそうだな、ネームドが進化するか確認しなきゃな。


 そうして考え込んでいて、思いついたことがある。


「そうだ、鍜治場作ろう」


 オリハルコンで。


 そうと決めたら、どうすればいいかドワーフの先生に聞くことにした。


 ◇◆◇◆◇


 こうして移動式鍛冶工房を作る中、高品質の魔法武器を作る。


 ミスリルは高品質の物が出回り始めてたから、かなり強力な武器が作れるようになり、モードレッド様に連絡して前の品物よりも質の良い物を届けに出向く。


「すまないな、わざわざ来てもらって」


「いえ」


 騎士の紅蓮剣と言う燦然と輝く銀の剣。火属性と攻撃系スキルを付与された魔法剣は出来が良く、モードレッド様も嬉しそうに受け取った。


「そう言えば、旅人は聖国の祭りに参加するのか?」


 その言葉に頷き、そうかと頷き返す。


「内容はよく知らないのですが、それ込みで楽しみにしてます」


「そうか、こちらとしても手が貸せる時は貸そう。俺の名を出してくれ」


「ありがとうございます」


 それならばと思い、オリハルコンの存在を伝えて見る。なるほどと頷き、少し驚きながらもどこか納得するモードレッド様。


「昔、国王。俺の父親に聞いたんだが、ヘファイストス様から神託を受けたらしい」


 当時、魔器作成は魔を退けられ、神とすら戦える武器を作り出せるだろうと言う神託を受けたのだが、神とまで戦う気は無いと、当時の国王と鍛冶師は思っていた。


 だが周りの権力者は違う。神に変わり、世界をこの手に納めることを考え、悪だくみをしたらしいがことごとく潰されたらしい。


「我が父、アーサー王はその辺は厳しくしたからな。もはや神託を受けた事を知る者も少なくなった。お前なら間違った方に武器を作らないだろう」


「はい、先生の為にも、そこは間違えないようにします」


「ああ頼むぞ」


 こうして工房作りを進めておくことにした。


 ◇◆◇◆◇


 鍛治工房ができたが、何ら変わらないと言うか、意味が無かったかのように何も起きない。


「これも違うか? はあ、たくさん使ったのにな」


「おとーさま」


「ちちうえ、卵が孵ります」


「おっ、本当か」


 卵を見に行くと光り輝き、飼い猫のチャチャが見守る。


 光りが収まると一匹の獣が空を飛ぶ。


 獅子の身体、鷹の頭に翼を持つ幻獣。グリフォンだ。ぷちグリフォンと言う名前で、くーと鳴いて空を飛ぶ。


 にゃーとチャチャに呼ばれ、側で丸くなる。マシロも丸くなり仲良くしている。


「どれどれ、魔力撃はあるな」


 魔力爪撃と言う強力な魔法攻撃の他に、炎息吹と言う炎属性のブレス。その他のステータスが高く、なかなか良いレベルだ。


 火魔法、風魔法スキルがあり、上級火魔法と上級風魔法もあるのも助かる。これで土と水があればいいなと言う状態。


「それじゃ、気分転換にフィールド探索しようか」


 連れて行く子は5名、シンク、輝夜、マシロ、クロナ、新たなテイムモンスター『マフィン』で行こう。


 こうしてフィールドに出て、海の方に出ることにした。


 ◇◆◇◆◇


 海の方で借りボートを借りて海を調べる。時間を気を付けて、魚を釣りながら時間を過ごす。


「取ったぞー」


「シンクはうまいな」


「むっふーん♪」


「輝夜釣ったぞー」


「おおっ、偉いえらい」


「うまうまっ」


「クロナ、食べない」


 二匹は飛び回りながら辺りを見て居て楽しそう。こうして過ごしていると、クロナが聞く。


「なんかおる」


「なに?」


 水平線すら見える海の中、何かあるとクロナは言う。なにかあるのだろうか?


「クロナのことだから精神魔法か? クロナ、念のために精神魔法使用」


「おK」


 そうしてそれを使った瞬間、それは現れた。


「は?」


 何も無いはずだった海の上、空間内に一つの島の入り口が出て来たのだ。


「なんだこれ?」


 範囲外は何も無く、海にはなにも浮かんでいない。


 だが精神魔法内には島らしい形があり、入り江がある。


「とりあえず上陸するか」


「おK」


「きゅー」


「くー」


 全員が頷く中、俺は未知の島へと足を踏み入れる。

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