第53話・神の鉱石

 ヒカリがレベルが上がり、ドライアド、アルラウネ、幸運の妖精と言う種族に進化するようだ。


 幸運の妖精は他とは少し違い、戦闘能力を放棄する代わりに生産能力が上がるらしい。ヒカリは戦闘が得意じゃないし、回復魔法など樹魔法を覚えて使える。そちらにして生産業をするヒカリ。


 そしたらヒカリ作品が噂になり、ブランド登録したように流行り出した。軽銀や銀鉱石で作る銀食器やワイングラスなどが売れている。


「これでみんなの物を用意しよう」


「わーい」


「パパ、私いっぱい作るね♪」


「シンクはぬいぐるみが欲しい」


「輝夜はお布団」


「クロナはシルバーアクセサリー」


「「♪」」


「ワン」


「きゅー♪」


「えっとねええっとねえ」


「ゆっくりでいいよユグドラシル」


「はあい」


 せっかくだから、ヒカリが稼いだお金は従魔達に使うことにした。いままでたくさんお世話になったから、遅いくらいか?


 お金を分けて貯めておくつもりだ。ヒカリが稼いだのはヒカリ達に使いたいな。


「ヒヒイロカネが手に入ったってホント?」


「おーう、持ってきたぜ」


 ヒヒイロカネ、緋石を手に入れて、ついに三大鉱石はプレイヤー達に流通するようになった。


 品質の低いのは買い取り、高いので武器を生産する。


「なあなあ、ユニークの【魔器作成】で金属作って、さらに【魔器作成】はできないのか?」


「できないよ。能力を引き継がせるスキルだからね。何度もできたら大変だからだろうな」


「ふーん」


 ヒビキにそう言って、鉱石をインゴットにする。加工したりするにはインゴットに変えないといけないからな。


 そうして叩いていると、ふと考える。


「そう言えば、アロンダイト、ミスリル、ヒヒイロカネは特殊な鉱石だよな?」


「? ああそーじゃないのか?」


「特殊貴金属みたいにシリーズスキルが無いけどね。能力のある鉱石だ」


 そう考えたら、一つ試して見たくなる。


「この三つを合わせてみると凄いのできそう」


「おっ、確かに」


 なるべく品質を統一して、三大鉱石を【魔器作成】で加工する。


 鍛治の歌を歌い、何度も作業する。ヒビキは面白いことにならないかと見て居ると………


(あれ?)


 鍛治作業が全然終わらない。時間が掛かり、長い時間キンコンカンコンと叩き続ける。ヒビキも冗談でやり始めたにしても様子がおかしいことに気づく。


 ついに妖精の生産地全員が集まる中で様子を見る。なにかМPが減っている。


「おいおい、これってなんだ?」


「いつもなら加工は終わってるの」


「大丈夫なんでしょうか?」


 全員が心配する中、妖精や従魔達は鍛冶の歌を歌っている。そんな時、優しい笑みを浮かべながら一人の神が訪ねて来た。


「まったくアッシュの奴は忙しい奴だのう」


 鍛冶神ヘファイストス。呆れながら嬉しそうにその様子を眺めていると、ついに光り輝き、一つの鉱石が生み出された。


「疲れた………」


「大丈夫?」


 シープ達が近づいてくるが、かなりひんどい。そしていつの間にか現れていたヘファイストスはうむと頷き、鉱石を手に取る。


「まさか作り出してしまうとはな。奴が天才なのか、お主が天命なのか、神として知りたいところだ」


「それは」


「これは神の鉱石【オリハルコン】。戦神が自分達が勝てる状況にしたいがために、三つに割った鉱石の真の姿じゃ」


 それに全員が驚く。戦神は自分達、神の武器を作らせてから、世界からオリハルコンを消し去ったらしい。ヘファイストス様からしたら、鍛冶の可能性を消されて憤慨する案件だったようだ。


「だが、元々この世界で覇を凌ぎ合う鉱石であった、ミスリル、アロンダイト、ヒヒイロカネの三つにオリハルコンの力が宿り、この三つを合わせる技術が誕生すれば、オリハルコンは再び世を巡ると思っていた。奴が【魔器作成】を作り出した時、可能性を感じたが、奴自身は作ることはせなんだ」


 そう呟く中、品質を確認したが★2だ。★4の品質同士なのに低いな。


「それはまだまだお主の技術が未熟だからだのう。だがオリハルコンはオリハルコン、神や上位存在に傷をつけられる存在だ。気を付けて使うように」


 オリハルコン復活させても、いまだに称号なりが現れない。鍛冶神ヘファイストスもこの程度では復活とは言い難いと言う。


「★3で無ければ、武器や防具に加工することもできないからな。★2はただ頑丈な鉄ぐらいの価値しかないぞ」


「そ、そんな」


「後は頑張るのじゃぞー」


 それを言われて立ち去る神様。ウチはよく神が訪ねて来るな。


「どうしよう。武器にできないっていうのなら、売るしかないけど」


「МPどれくらい吸われた?」


「ほぼ全部だな。これ以上時間をかけるとレベルとか足りないな」


 ヒビキは武器にできないかと残念がり、情報は売るか話をしておこう。オリハルコン復活は俺じゃなくていいからね。


「これはどうするか」


「ゴウ」


「♪」


「二人が欲しがってるぞ」


 クロナがそう言い、ナイトとタロウが欲しがっているらしい。ならばやることは一つだな。


「よし、オリハルコン作成も経験値に入るはずだから、★2はナイト達にあげちゃおうか」


「★3とかの三大鉱石は流すよ」


 それに喜ぶ二人、まずはジャンケンさせて、先に手にするか話し合わせるがタロウが辞退。ナイトがオリハルコンを受け取り、身体に溶け込むように吸収する。


 こうしてオリハルコンが発見されて、各所で研究が始まったのであった。

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