第4話・騒動の元

 歌いながらの戦闘だが鼻歌でもよかったらしく、兵士の歌と守りの歌を覚えた。


 歌いながら戦うと攻撃力か防御力を上げるらしい。選択するとBGМが変わり、歌詞が視界の端っこから流れて来るため歌いやすい。


 そんな事をしながら発掘スキルを手に入れて鉄鉱石を集めて、レンタルして鍛冶する中、高炉を見て居る。


「シンク」


「コン?」


「狐火で火を灯してくれないか?」


「コン」


 狐火の炎は血のように赤く灯り、高炉が妖気の高炉になって火が灯る。


「おおっ、すげえ」


「コンコン♪」


 得意げのシンクを撫でながら、俺はインゴットや装備を作る。


 銅のインゴットで武器を作ると★4ができて、性能が上がっていた。


 鉄鉱石でインゴットを作ると『妖気のインゴット』になり、鉄製品では無い物ができた。


「性能も高い、これはすごいぞ」


 これで装備を整え、売れればセット販売されているアイテムも手に入る。


 俺はいくつか武器を作り、自分用に妖気の片手斧と軽装、盾を作った後、残りは○○の片手剣×3納品などのクエストで妖気の片手剣を納品すると。


「これは良い物ですね。少しばかり値を上げなければ」


「やった」


 片手剣の納品は種類は別々でも、片手剣が三本あれば良い納品クエスト。納品したアイテムが高性能だとこのように値段が変わる。


 同じようにこちらは銅の片手剣と指定されている納品をしておく。★4だからこちらも報酬に色を付けてくれた。


 頑張って稼いだおかげで畑を増築できたし、セット販売されていたアイテムも買う事ができた。


 ◇◆◇◆◇


 要塞都市は広く、ゴミ拾いクエストもかなり難航したがどうにか集められた。


「これで全部」


「はい、お疲れさまです」


 ゴミを教会の人に預けると、ゴミをてきぱき仕分けする。


「ああ、これはゴミではありませんね。冒険者さんにお渡しします」


 薬草や銅鉱石が手に入る中、最後に神の祈りを捧げると良い事があると思いますと言われた。


「そろそろログアウトしたかったが、まあいいや」


 そうして司祭様が祈りを捧げてくださいと言ったので、祈りを捧げる。


(レアをください、レアアイテム、レア素材、レアイベント)


 そんな欲望まみれの願いを捧げていると、突然女神像が光り出して、俺はやっちまったかと驚いた。


 光が収まると、白い何かがゆっくりと俺の前に降りて来る。


「………こんにちはおとーさま」


 そう眠そうな顔の白ゴスロリ少女がお辞儀をしている。


 銀色の髪に蒼い瞳。波立ような長い髪をしていて、白い羽根と光る輪っかを付けている。天使ですね。


「て、天使の降臨だーーーっ!?」


 なんか腰を抜かしている司祭様。慌てだすNPCに俺は天使を連れて帰った。だって従魔枠で名前を付けてくださいって言われてるんだもの。


 名前は『輝夜』と付けて新しい家族になった。


 その日からしばらく、ゲーム内がざわめいているが怖くて人前に出られないわい。


 ◇◆◇◆◇


『称号:農家を手に入れました』


「よかった」


 畑でクエストなどをやりながら、余ったのは市場にマッシュマックを売ると農家の称号が手に入る。これで半日でマッシュマックを作れるし、他の野菜など作りやすくなった。


「おとーさますごーいねえ」


「コン」


「♪」


 従魔も三体になった、確か最大パーティ枠削って5体連れ歩ける。頑張ろうかこっちも。


 輝夜はヒーラーらしい能力持ちで、浮遊と浄化と言う能力持ち。何かに浄化の力を持たせる浄化。これは狐火のように使えるかもしれない。


 称号を農家にして、マッシュマックを育てる。それと共に加工道具と品種改良セットを確認する。


「加工道具は油など取り出す道具か。マッシュマックから油取れるみたいだな。品種改良セットは、種とアイテムを合わせると新しい種が生まれると」


 あれ?品種改良先がすでにできてる。図書館で色々見た時かな? 調合の時もそうだし、色々見て居てよかったよ。


 薬草とマッシュマックを合わせると『マッシュキュア』と言う野菜に。もう一つは胡桃と合わせて『マッシュナッツ』か。作ってみよう。種は農業ギルドから買うか、薬草と胡桃を消費して種を生成できる。これで良し。


「まず何日でできるか分からないから、確認するために畑から出ないでおこう。いま騒がしいし」


「お昼寝する~」


「いいね。おとーさんのとこに来なさいみんな」


 一斉に来る我が子達。大人しく一日、ログ時間気を付けて過ごそうか。


 マジで寝ないように気を付けないと、寝落ちログアウトはまずい。


 ◇◆◇◆◇


 お金は妖気シリーズのおかげで目処が立ち、素材アイテムである雑草を消費して肥料を作るオブジェクトアイテムを買って水まきをする。歌いながらだがなにげに要塞都市の畑エリアは広いのか、人と出会わないから気にしない。


 品質も★5で安定していて、今現在で手に入る★3のマッシュマックを種に変えて、さらに品質向上を目指す。★4はキュアかナッツに変えて育てる。どちらも1日掛かるだけだ。


「ほいほい、加工品は何ができる?」


 マッシュキュアは砂糖が作れる。マッシュナッツは油が取れる。


 とりあえず加工して作り出しておこう。自動的に市場に売れるショップウインドウを開いて売ってと。


 油はココナッツオイルみたいな感じで、砂糖は薄いピンク色をした砂糖。ナッツオイルとキュアシュガーと言うアイテム名で販売される。


 品質勝負を意識して春の歌を歌いながら頑張るぞ。


 そうして最近掲示板も見ないからか、市内が大変な騒ぎだと言うことを、俺は知らなかったのです。

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