散歩の百十五話 花見祭りの終了

「これにて花見祭りは終了となります。皆様、気をつけてお帰り下さい」


 そして二週間に渡った花見祭りは無事に終了。

 実行委員長の娘さんのアナウンスが、花見会場に響き渡ります。


「終わったね」

「うん、終わったね」


 フランとホルンがお互いに手を繫いてニコニコとしているけど、子ども達も本当に頑張った。

 保護されている子ども達も、かなり満足そうにしていた。


「や、やっと終わった。暫く料理はやりたくない……」

「シュンお兄ちゃん、アオ、リーフちゃん、大丈夫?」

「もうだめ、動きたくない」

「あはは、お疲れさまです」


 でも、その子ども達の頑張りのお陰で、屋台部隊もとい調理部隊はずっと大忙しだった。

 シロとスーが僕とアオとリーフに声をかけているけど、僕達は疲労困憊で机の上に突っ伏していました。

 そんなヘロヘロになった僕達に、ホクホク顔で声をかけてくる人が。


「いやあ、あんちゃん達のお陰で今年の花見祭りは大盛りあがりだったぞ」

「追加で報酬も払うからね。本当にありがとうね」


 バシバシ。


「痛い、実行委員長痛いですよ!」


 実行委員長が機嫌よく僕の背中を叩くけど、実行委員長の奥さんもかなり機嫌の良い顔をしていた。

 他の実行委員も、いい笑顔をしている。

 まあ、あの激動の二週間で相当の売上を記録しただろう。

 手伝いをした沢山の子ども達にも、充分な報酬を払う事もできる。


「何より新しい料理ができたんだ。これから色々と調整事ができて、更に忙しいぞ」

「新しい料理は、東の辺境伯領の名産になるわね。街の人も喜ぶと思うわ」


 後片付けをしながら、実行委員長と実行委員長の奥さんが僕に話しかけてくる。

 カレーと焼きそばパンのレシピは実行委員長に渡してあるし、辺境伯家では既に料理人によってオリジナルカレーが作られている。

 間違いなく東の辺境伯の名産になりそうだ。

 そんな事を思いながら、後片付けはあっという間に完了。

 すると、実行委員長が周りの人に声をかけてきた。


「よし、冒険者の連中もギルドで手続きを終えたらお館様の屋敷に集合だ」

「「「おー!」」」


 おや?

 何で辺境伯様の屋敷に僕達が集まるんだ?

 僕だけでなく、シロやアオにスーもはてなマークが出ている。

 すると、魔法使いのお姉さんが理由を教えてくれた。


「この後、お館様の屋敷で花見祭りが無事に終わったと報告をしつつ、屋敷で宴会をやるんだよ」

「え? 辺境伯様の屋敷で宴会ですか?」

「そうだよ。花見祭りは辺境伯領最大のお祭りだから、毎年トラブルもあるんだ。だから、お館様が実行側を労ってくれるんだよ」


 おお、流石は辺境伯様だ。

 運営側の事も気にしてくれるとは。

 だからこそ、花見祭りが毎年盛大に行われるんだな。

 今年は教会の事もあったからか、より一層運営側はやる気になっていたもんな。

 という事で、実行委員側はそれぞれの商店に帰ります。

 僕達冒険者達も冒険者ギルドに終了報告を行う為に移動を開始し、子ども達も迎えの馬車に乗り込みます。

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