散歩の二十八話 ゆっくり休もう

「ギルドから話がきてるぞ。君がスーだな」

「はい、スーと申します」


 皆で宿に向かうと、カウンターで店主が待っていた。

 どうもギルドから店主の方にスーの話がいっていた様だ。


「たまに冒険者同士のトラブルで緊急保護をする事がある。だから急な宿泊ってのもあるんだ」

「そうなんですね。宿泊代金はどうなりますか?」

「先にギルドから支払われる。後で稼いだ分から引かれるぞ」

「色々とすみません。宜しくお願いします」


 こういう事は、事前にギルドと提携している宿で決め事としているんだ。

 という事で、あっさりとスーの宿泊が決まったのだが、問題が発生。


「だが、部屋が足らなくてな。悪いが一緒の部屋で良いか?」

「大丈夫です。実はいつもシロが僕と寝るので、ベッドが一つ空いているんです」

「じゃあ、今日はシロがスーお姉ちゃんと寝る!」

「それは後で決めよう」

「重ね重ねすみません」


 という事で、先ずは部屋に移動。

 ふと思ったけど、貴族の令嬢が同じ部屋ではまずいのでは?

 部屋についてから、話をしてみた。

 

「スー。確認だけど、貴族の令嬢が平民の男と一緒の部屋ではまずいよね?」

「今は冒険者ですので、大丈夫です。公式の時は、流石に宿を分けますが」

「今回はしょうがないけど、次回から部屋を分けるようにしよう」


 ベッドは僕が上でスーが下を使って貰うことに。

 シロとアオは、その時の気分で寝る場所を変える様だ。

 次の宿では、キチンと部屋を分けるようにしよう。


「あら、私と同い年なんだね。いっぱい食べて大きくならないと」

「はい……」


 そして、スタイル抜群の宿の娘さんとスーが同じ年だという衝撃的な事実が。

 スーは身長も低いしつるぺたなので、余計にスタイルの差が際立ってしまう。

 スーは自分の胸の大きさと宿の娘さんの胸の大きさを見比べて、はぁっと深いため息をついていた。

 そんな様子を見ていたら、他の人から声がかかった。


「シュン、明日の指名依頼にスーも連れて行くのか?」

「はい。何か仕事はあるかもしれないので」


 スーとは、部屋にいる時に明日のスケジュールを話している。

 スーもやる気になっていたので、一緒に行く事にした。

 明日を乗り切れば明後日は安息日になるので、ゆっくり休んで貰う予定だ。


 食事も終わり部屋に戻ると、皆の事を生活魔法で綺麗にする。


「さて、僕達も寝ようか。おや、寝ちゃったかな?」

「疲れたのかな?」


 スーは、イスに持たれてすやすやと寝てしまっていた。

 今までの疲れもあったのだろう。

 僕がスーをお姫様抱っこしようとしたら、何故かシロがスーの事をお姫様抱っこしている。

 

「お休み、シュンお兄ちゃん」

「……ああ、お休みシロ」


 シロは、そのままスーと一緒にベッドに入って寝てしまった。

 何だかなあと思いながらも、僕もベッドに入った。

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