千二百九十二話 披露宴会場の確認を行います

 みんなで移動してきたのは、披露宴会場となる大部屋です。

 既に席のセッティングは終わっていて、披露宴会場内も軍の兵によって

警備が行われています。

 そんな中、王城の使用人や専門業者によって飾り付けが忙しく行われていました。


「「「悪いものがないかさがすー」」」


 すると、ちびっ子たちは誰かに言われるでもなく披露宴会場内の捜索を始めたのでした。

 きっと宝探しの感覚で動いているのかなと思ったら、鑑定魔法も使って色々と調べていますね。


「よーし、リズも負けないよ!」

「エレノアも、頑張るの」


 そのうち、リズたちやスラちゃんも混じって色々と調べ始めていました。

 プリンも色々と調べているので、ティナおばあさまの側には僕とお付の専属侍従だけです。


「あっ、この椅子グラグラだよ!」

「テーブルの脚にヒビが入っている!」


 そして、数箇所のテーブルや椅子の破損を見つけたのでした。

 使用人が確認すると全て経年劣化によるもので、すぐさま交換の手続きが取られました。


「「「おわったよー!」」」

「みんな、ありがとうね。ご褒美に、昼食はいいものを出してあげないとね」

「「「わーい!」」」


 ちびっ子たちは、ティナおばあさまの周りで謎の踊りをしながら喜んでいました。

 下手にお金をもらうよりも、親しい人からの美味しいご飯の方が元気がでるもんね。

 では、さっそくリハーサルを行いましょう。


「僕は司会だね。じゃあ、今回は新郎新婦役をミカエルとブリットにしてもらおうかな?」

「「はーい」」

「「えー!」」


 リズとエレノアがぶーぶーと文句を言っているけど、二人にもやらないといけないことがあるのだからね。

 対して、ミカエルとブリットは元気よく返事をしていました。


「じゃあ、実際の席に座りましょう。ミリアは申し訳無いけど、かなり後ろの方になっちゃうね」

「大丈夫です。逆に、マイクテストには丁度いいです」


 ミリアは男爵家エリアで、サンディは伯爵家エリアに座ります。

 メイちゃんやリラちゃんたちは辺境伯家の縁のものとして、辺境伯家や侯爵家のエリアに座ります。

 メアリは公爵家エリアで、もちろんルカちゃん、エドちゃん、エリちゃんは王族のエリアです。


「あーあー、ミリア、聞こえる?」

「もう少し大きな音がいいかと思います」


 当日は人もたくさん入るので、ミリアの申告よりももう少しスピーカー型魔導具の音量調整をしておきましょう。

 他の場所のスピーカー型魔導具の音量調整もして、これで大丈夫ですね。

 当日もう一回音量調整するけど、今はこれで進めましょう。


「えーっと、カンペ帳はこんな感じで進んでっと。では、いよいよ新郎新婦の入場です」

「「「わー」」」


 僕の合図で、ミカエルとブリットが披露宴会場に入ってきました。

 みんなの拍手の合図で、ミカエルとブリットは新郎新婦の席に座ります。

 その後、僕が話すセリフを簡単に言いみんなの番となりました。

 既に、ちびっ子たちは司会席の側に集まっていました。


「ここで、小さい子どもたちからのお祝いの花束贈呈です」

「「「はい!」」」


 ルカちゃんとエドちゃんを先頭に、ちびっ子たちが元気よく返事をして新郎新婦の席に進んで行きます。

 そして、新郎新婦役のミカエルとブリットに花束を渡す真似をしました。

 これで、ちびっ子たちの出番は終わりですね。

 後は、進行表に沿って説明して終わりです。


「ティナおばあさま、こんな感じですけど大丈夫ですか?」

「ええ、問題ないわ。とても立派にできているわよ」


 ティナおばあさまにもオッケーをもらったので、これで披露宴のリハーサルは終了です。

 ちょうど昼食の時間なので、みんなで披露宴会場から食堂に移動しました。

 すると、衣装合わせの最終チェックなどを終えたルーカスお兄様、アイビー様もほぼ同タイミングで食堂に入ってきました。


「みんなは、しっかりとリハーサルができたかしら?」

「「「バッチリだよ!」」」

「それは良いことですわね」


 アイビー様も、元気よく返事をしたちびっ子たちにニコリと微笑んでいました。

 実際に頑張っていたのは間違いないもんね。


「アレクの方は大丈夫か?」

「教会と披露宴のリハーサルは大丈夫かと。午後は、当日のスケジュールとゲートで連れてくる人の確認をします」

「アレクは、本当にしっかりとしている。済まないが、色々と任せる」


 ルーカスお兄様は、明日は主役なのだからとっても忙しいはずだよね。

 そして、この場にいないルーシーお姉様は、王妃様とアリア様と共に誰に挨拶すれば良いかを未だに確認しているそうです。

 午後からはエレノアも挨拶確認に加わるそうで、ちょっとショボーンとしていました。

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