千二百八話 最後に教皇国に向かいます
次は、今日の外国訪問のメインの教皇国に向かいます。
大聖堂の近くにゲートをつなぎ、到着後はみんなでこっそりと大聖堂の中を覗きました。
「わあ、多くの人が集まっているね」
「新年のミサを行っているのだろうね。ちょっと待とうか?」
「そーだね」
流石にミサの邪魔をしてはいけないと思い、僕たちは大聖堂の一番後ろに並んで様子を伺っていました。
すると、シスターさんが僕たちのところにやってきたのです。
「皆様、教皇猊下が是非とも前に来て欲しいと仰っております」
どうやら、僕たちが大聖堂に来ているのに気がついたみたいです。
下手に黙って後でバレるよりも、今行った方が良さそうですね。
僕たちは、素直にシスターさんの後をついていきました。
「おお、ルーカス王太子殿下ではありませんか。王家の方々に加えて、双翼の天使様、勇敢な天使様、救国の勇者様もおいで頂くとは」
教皇猊下がニコニコしながら誰がやって来たと言うと、集まっている人たちがとんでもない人が来たと手を組んで祈り始めました。
ありがたやと僕たちのことを拝んでいる人もいるけど、特にちびっ子たちは何が何だか分からないでいますね。
取り敢えず、僕たちと祭壇の前に並びます。
カレン様と枢機卿の方々に加えて、紫色のセミロングの女性もいます。
カレン様と同じ服を着ているけど、もしかしたら次期聖女様かもしれませんね。
ザワザワザワ。
僕たちが祈りだしたら、何故か周りの人たちがざわめき始めました。
何だろうと思ったら、ちょうど窓からの光が僕たちに降り注いでいるんですね。
後光が差しているとか、いきなり奇跡を起こしたと言っている人がいるけど、本当にたまたまだと思いますよ。
カレン様や枢機卿たちはニコニコしながら僕たちの事を見ていたけど、カレン様の側にいた紫色のセミロングの女性はかなりびっくりしながら僕たちを見ていました。
「うむ、さっそく奇跡みたいなことが起きたがここにいるものにとっては些細なことだ。では、ミサを再開する」
あの、教皇猊下、その言い方だと誤解を生みそうですよ。
その後もミサは滞りなく進み、僕たちは応接室に案内されました。
今年は新年から縁起がいいものが見られたと言って、集まった人が帰っていきました。
「教皇猊下、いきなりお邪魔してしまい申し訳ありません」
「王妃様、何も問題はないぞ。この分なら、今年もいい年になりそうじゃ」
王妃様が代表して教皇猊下に頭を下げていたけど、教皇猊下を始めとした面々は全く気にしていなかった。
そんな中、教皇猊下がぽかーんとしている例の少女の説明を始めた。
「皆様、こちらにいるのが次期聖女のセリーヌじゃ。両親は教会のものだが、敬虔なる信者だ。セリーヌも、とても良い治癒師じゃ」
「ご、ご紹介頂きましたセリーヌです。噂に名高い皆さまにお会いでき、感激しております」
セリーヌ様は今年十二歳で、イヨと同じ歳ですね。
かなり緊張しながら僕たちにペコペコと頭を下げていたけど、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。
それに、セリーヌ様はみんないい人だと直ぐに懐きました。
カレン様とアイビー様が、みんながどんな人かを説明していますね。
「今年は聖女譲渡の儀式が行われるが、できれば皆さまにも参加して欲しいのだ」
「分かりましたわ。日程を調整して参加するようにいたします」
「王家からも、代表を必ず出すようにいたしますわ」
特に問題ないと、ティナおばあさまとアリア様が教皇猊下に返事をしていました。 僕たちもできれば参加するようにしなきゃ。
カレン様の一大イベントだもんね。
この儀式には各国に参加を呼び掛けているから、空間魔法使いの誰かが用心を連れて行くんだろうね。
その後も色々と話をしたけど、ちびっ子たちがセリーヌ様を囲んで色々と話をしていたのが特に印象的でした。
そんなほのぼのとした光景を、カレン様はにこやかに眺めていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます