千九十八話 魔法の授業です
今日は、魔法の授業です。
もちろん僕とリズが本気を出すと大変なことになるので、みんなに魔法を教えることにします。
「今日は、改めて魔法の基礎訓練をやってみましょう。では、アレク君とリズさんで魔力循環をしてみましょう」
「「はい」」
魔法の先生は、とても若い栗毛のショートヘアの女性でした。
優しそうな人なんだけど、実は今年から新規採用になったそうです。
僕はリズと手をつないで、毎朝行っている魔力循環を始めました。
シュイン、シュイン、シュイン。
「わあ、お二人の体が少し光っているわ」
「綺麗ねえ。本当に凄いですわ」
僕とリズは魔力量が桁違いにあるので、体が微かに光るんだよね。
でも、体のどこに魔力が流れているか分かりやすい利点はあります。
クラスメイトも、ちょっと幻想的な光景にビックリしていました。
「はい、二人ともありがとうございます。まるで教科書のような、綺麗な魔力循環でしたね。無理に魔力を流すのではなく、体の隅々まで魔力を流すイメージを持つことが大切です」
「「「はい!」」」
ということで、さっそくみんなで手をつないで魔力を流すことにしました。
とはいえ、エレノア、サンディ、メアリは僕とリズとの魔力循環を行っているので、別の人と行うようにします。
女性が多いので、スラちゃんとプリンは男性陣と一緒に手を繋いで魔力循環をします。
すると、予想外の事態が起きてしまいました。
それは、リズが魔法が使えない女子と魔力循環の体験をした時だった。
シュイン、シュイン。
「これが、魔力循環なんだよ!」
「こ、これ……うんっ! んぐっ?!」
あの、リズよ。
手をつないで魔力循環をしている女子が、体をビクンビクンと悶えさせながら恥ずかしげな声を出しているんですけど。
ペタリと座って息を整えていた女子が、不思議な感覚を覚えたみたいだった。
「はあはあはあ。あ、あれ? もしかして魔力が体の中にあるかも……」
「「「ええ?!」」」
なんと、今までさっぱり魔法が使えなかった女子が、魔力を感じていると言っているのです。
これには、先生も含めて僕たちもとてもビックリしていました。
ということで、許可を得て女子を鑑定してみた。
「あっ、風魔法が使えるって出ています!」
「わ、私にも魔法の力が現れたのですね……」
僕の鑑定結果を聞いた女子が、自分の手の平をじっと見ながら思わず呟いていた。
うーん、コレってもしかして……
「先生、リズのバカ魔力が魔力経路などを強引に整えたのかもしれませんね」
「それしか考えられませんわ。何れにせよ、これは大発見です!」
先生も思わず興奮する結果なのだけど、これは暫くどのような作用があるかを確認しないといけないですね。
当のリズは、エレノアとともに何だかやる気満々になっていた。
「ふふふ、リズがみんなを魔法使いにしちゃうよ!」
「エレノアも手伝うの!」
スラちゃんとプリンも一緒になってみんなの魔力循環を始めていた。
リズは、特に男子相手でも気にしていなかった。
「うひっ、おふっ……」
うん、リズと手を繋いでいる男子がくねくねとしているのがちょっと気持ち悪いですね。
それでも効果は抜群で、何とうちのクラスの魔法が使えなかった全員が魔法使いとして覚醒したのだった。
ということで、次回の授業も復習の意味を兼ねて魔力制御の勉強をすることになりました。
「ふふふ、リズが学年のみんなを魔法使いにしちゃうよ!」
リズとスラちゃんが不敵に笑っているけど、どうやらあと三クラスも魔力循環をするつもりだった。
でも、流石に待ったをかけた。
「リズ、一気にクラスメイトを魔法使いにしちゃったから、悪影響がないかちゃんと確認しないと駄目だよ。それに、先生とかあとは陛下の指示を受けないといけないよ」
「えー」
リズとスラちゃんが僕に大ブーイングしているけど、こればっかりは仕方ないですね。
そして、僕はお家で簡単にできる魔力制御の訓練方法をみんなに教えた。
もしかして、うちのクラスメイトってとんでもないことになっちゃったかもしれないね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます