千九十三話 放課後はお仕事です
僕たちは、生徒会室から昇降口に移動しました。
今日はこれで学園は終わりなんだけど、僕は別の場所に向かいます。
「じゃあ、僕は王城に向かうからみんなも気をつけて帰ってね」
「じゃーねー、お兄ちゃん! エレノアちゃんもバイバイ!」
リズが元気よく僕とエレノアに声をかけたけど、エレノアは王城に帰るので僕と一緒にゲートで王城に向かいます。
プリン、僕の頭の上でみんなにサヨナラの挨拶をしていますね。
リズとサンディは、スラちゃんがいるから自分たちで辺境伯領に帰れますね。
ではでは、王城に向かいましょう。
「あら、アレク君、エレノア、お帰りなさい」
王城に着くと、直ぐにティナおばあさまが僕たちを出迎えてくれました。
今日貰った書類の中に保護者向けのものがあったから、ティナおばあさまに見せないと。
僕は、アイテムボックスから書類を取り出してティナおばあさまに渡しました。
「ふむふむ、年間の授業計画と時間割表ね。後で、他の人にも見せておくわ」
ティナおばあさまはそう言うと、僕たちを食堂に連れて行った。
そして、食堂にいたルカちゃんとエドちゃんが、この場にいない人に気がついたみたいです。
「あれ? リズお姉ちゃんは?」
「サンディお姉ちゃんはどこ?」
リズとサンディが僕とエレノアと一緒に学園に行っているのは二人とも知っているので、この場にいないのが不思議みたいですね。
「リズとエレノアは、スラちゃんと一緒にお友達と遊んでいるんだよ」
「「そーなんだー」」
ルカちゃんとエドちゃんはいつもレイカちゃんたちと遊んでいるので、リズとサンディがこの場にいない理由が分かれば特に気にしていなかった。
さてさて、僕も昼食を食べないと。
「もぐもぐもぐ」
エリちゃんは、お兄ちゃんたちのことは気にせずに美味しそうにパンを食べていました。
エリちゃんは、食欲全開って感じですね。
「皆さん、お疲れ様です」
「「「お疲れ様です」」」
昼食後は、僕は宰相執務室に行ってお仕事をします。
宰相執務室の職員に制服姿を見せたことはあるけど、実際に制服を着てお仕事をするのは初めてだね。
ちなみに、学園にいるうちにササッと通信用魔導具で仕事内容は確認しています。
すると、ローリーさんが僕にニコリとしながら話しかけてきました。
「アレク様、初めての学園の授業は如何でしたか?」
「うーん、今日は教科書や資料を貰っただけだから、まだ良くわからないです。生徒会にも行ったのですが、顔見せ程度でしたので」
「ふふ、そうですか。でも、アレク様にとって、授業はつまらないものかもしれませんね」
ローリーさんがクスクスとしながら返事をしたけど、勉強の復習にもなるから授業がつまらないってのはないと思うなあ。
それに、勉強したのとは別の方法を教わる可能性もありそうですね。
では、夕方までお仕事を頑張りましょう。
シュッ。
「お兄ちゃん、ただいま!」
「アレク様、お疲れ様です」
おやつ休憩の時間になったタイミングで、リズとサンディが宰相執務室に姿を見せた。
どうやら、お話は終わったみたいですね。
「リズ、今日はどこに行ったの?」
「うーんとね、レシステンシアちゃんのお家に行ったんだ。みんなでお喋りして、とっても楽しかったよ!」
レシステンシアさんの屋敷は、僕たちが行っていい数少ない貴族家の一つです。
リズたちも、とっても楽しかったみたいですね。
「もぐもぐ、じゃあお家に帰るね。お兄ちゃんも頑張ってね!」
「失礼します」
そして、リズたちはお菓子を食べてあっという間にスラちゃんのゲートで屋敷に向かいました。
なんというか、嵐が過ぎ去ったみたいですね。
これには、宰相も思わず苦笑していました。
ちなみに、エレノアはアリア様と一緒に来客対応しています。
入園おめでとうございますって、エレノアと面会したい貴族がたくさんいるみたいです。
問題ない貴族のみ面会しているみたいだけど、僕はそういうのはないから大丈夫ですね。
こうして、僕は夕方までお仕事をしていました。
そして、夕方エレノアと会ったけど、どうやらアリア様と面会に来た人とで話が盛り上がってしまったらしく、げっそりとした姿をしていた。
うん、暫くは面会がたくさんあるらしいので頑張ってもらわないとね。
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