千三十九話 辺境伯領での五歳の祝いの日
いよいよ、辺境伯領での五歳の祝いの日になった。
辺境伯家の屋敷と僕の屋敷は、朝から準備とかでてんやわんやです。
またもや屋敷の柵が一部外されて、大きな広々とした庭がパーティー会場となりました。
そこにテーブルとかが並べられていき、パーティーの準備が進んでいきます。
しかし、今年の辺境伯家は更にドタバタしていました。
「二人とも、とても綺麗にできたわね」
「「うん!」」
ソフィアさんも思わずニンマリしているけど、辺境伯家の将来の跡取りである双子ちゃんが五歳になるからです。
ステラちゃんとオリバーちゃんは、綺麗に着飾っていてとてもご満悦です。
でも、更に辺境伯領には五歳になる子どもがいます。
「「「おはよーございまーす!」」」
「いらっしゃい、とても可愛らしくできているわね」
辺境伯家に姿を見せたのは、レイカちゃんたちです。
レイカさんやカミラさんたちも子どもも五歳になるので、綺麗な服やドレスを着ています。
いつもは背中に剣を背負っているレイカちゃんも、今日はお姫様みたいに可愛らしいドレスを着ていますね。
ちなみに、ジンさんたち父親は辺境伯家で待っていて、レイナさんたち母親が教会に向かうそうです。
そういえば、僕たちやミカエルの時も母親が教会に行くことが多かったよね。
レイナさんたちは、主役の子どもたちよりも目立たないようにと落ち着いた服装をしています。
そして、ゲストも辺境伯家に到着しました。
シュッ。
「「とーちゃく!」」
「ちゃくー!」
王城から、ルカちゃんとエドちゃん、それにネコちゃんと一緒のエリちゃんがやってきました。
王妃様とアリア様もやってきたけど、ネコちゃんの毛の中でもそもそと動いているマジカルラットが空間魔法を使ってやってきたみたいです。
王妃様とアリア様も今日は落ち着いた服を着ていて、エリちゃんもお気に入りのオレンジ色のドレスですね。
ルカちゃんとエドちゃんはお揃いの緑色の服を着ていて、同じく五歳の祝いに参加する子どもたちと一緒にニコニコしながらおしゃべりをしていました。
教会で行う五歳の祝いの儀式はもう少し後なので、暫く楽しく遊んでもらいましょう。
「この子たちも、こうして無事に五歳を迎えられたのね。いつも元気いっぱいだけど、節目を迎えると改めて実感するわ」
「治療の手立てがあるとはいえ、貴族の子どもでも亡くなるものはいるわ。いつまでも元気でいて欲しいのが、親としての願いですわね」
王妃様とアリア様も、応接室で楽しくお喋りしているちびっ子を感慨深そうに眺めていました。
病気や事故で亡くなる子どもはまだまだ多いし、僕たちも全員は救えません。
せめて、目の前にいる人だけでも救いたいです。
思えば、ミカエルも保護した当初は凄く体が弱っていたもんね。
今では、実質的なちびっ子軍団のリーダーとして頑張っています。
そして、リズがあることを言うと子どもたちはしっかりと言うことを聞いていました。
「あのね、ちゃんと式典に参加したらご褒美にお兄ちゃんのプリンが待っているよ!」
「「「プリンー!」」」
あの、僕の作ったプリンでしつけることはないと思うけど……
それでも、ルカちゃんたちは元気よく返事をしていた。
ご褒美のプリンを楽しみにする辺り、まだまだ子どもですね。
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