千四話 別の衛星都市建設現場に移動します
その後は学園生が作業員や兵に色々と質問をしていて、作業員たちも逆に色々とヒントを思い浮かんでいた。
将来地元の領地経営に関わる人も多いので、かなり興味津々だった。
ちなみに、要望があれば各地の領主や関係者に説明することもしています。
こうしてある程度質問か落ち着いたところで、次の場所に向かいます。
「じゃあ、ゲートを繋ぐので馬車も移動して下さい」
「「「はい」」」
ということで、今度は別の衛星都市建設現場に向かいます。
ここは元々軍の施設があるところで、さっきまでいたところと同じ王都から馬車で一時間の距離です。
ゲートを現地に繋いで、馬車ごと移動をします。
全員移動し終わったところで、説明を始めます。
「ここが、第二衛星都市建設現場です。といっても、まだ建設前なので軍の施設があるだけで一面原っぱです。先ほどの衛星都市建設現場も、整地する前はこんな感じでした」
一面原っぱで軍の施設があるだけなので、少し殺風景ですね。
では、どうやって整地をしたかを実際に見てもらいましょう。
念の為に、僕たちの後ろに全員下がってもらいます。
「これから、土魔法を使って建設予定の整地を行います。今日は僕たちの魔法を使いますが、あくまでも参考にして下さい」
「えっ、整地ってどこまでやるんだ? まさか全部やるつもり?」
「いやいや、アレク君だとしても流石に無理でしょう」
どうやら、学園生は少しだけ整地すると思っているみたいです。
何が起こるか知っているルーカスお兄様とアイビー様は、クラスメイトの反応を見て思わず苦笑していました。
目安の杭は打たれているので、範囲設定も大丈夫です。
僕、リズ、スラちゃん、プリンは、一気に溜めた魔力を開放しました。
シュイン、シュイン、もこもこもこ、もこもこもこ。
「えっ、一気に土がならされて行くぞ。まさか、本当に全部整地するつもりか?」
「合体魔法とはいえ、いくらなんでもありえないぞ!」
ざわざわとざわめきが起こる中、僕たちは整地を終えました。
良い感じに土も固まって、綺麗に平らになりました。
「ふう、こんな感じです。僕はさっきの衛星都市建設現場でも整地を行ったので土の固さを把握していますが、初めてやる場合は先にテストしてから行って下さい。また、整地をして即工事開始ではありません。この場所も事前に測量していますし、この後も正しくできたか測量します」
「「「はっ、はあ……」」」
何だか学園生はぽかーんとしているけど、僕たちにとっては二回目の作業だから魔力効率も上がっています。
「基礎作りは大変だが、キチンとやらないとあとが大変だ」
ルーカスお兄様がクラスメイトに説明すると、何故か安堵の声が聞こえた。
うん、説明としてはちょっとやりすぎたかもしれない。
あと、入園試験で魔法使わなくて本当に良かったと、別の意味で安堵している人もいました。
そして、今度は測量関係の人に質問したりしていました。
僕たちの土魔法は、基本的にスルーみたいです。
それはそれで、何だか寂しい気もするけど……
「アレク君、建築に使う木材はどうやって運んだの?」
「各地の木材加工場で加工したものを、僕とスラちゃんの魔法袋で運びました。もしかしたら、マジックバッグでも問題ないと思いますよ」
「ああ、そういうことね。最悪、木材加工業の商人に運んでもらえればいいか」
荷物運びも凄い方法を使っていたらしいけど、リズたちでもある程度の木材は運べると思うけどなあ。
軍の魔導船なども活用すれば、短期間で木材を集めることもできる。
でも、一度大量に木材を集めちゃえば、後は進捗にそって補充すればいいだけですね。
「ここまでできれば、後は測量して設計書通りに町の概要を作っていきます。先ほどの町では防壁も僕たちの魔法で作ったけど、この町ではどう作るかはまだ検討中です」
「付け加えると、町の防壁も魔法で一瞬にして作ってしまった。ただ、人にお金を回すのなら形だけ作って後は任せることも必要だ」
ルーカスお兄様が僕の説明に補足してくれたけど、どこまで魔法で作ってどこからお金を落とすかの配分は中々難しいです。
予算次第だから、この辺はバランスよく行いましょう。
また、水もとても大切だと言ったけど、井戸も僕が掘ったと言ったら呆れられた。
予算管理がとても大事だと、ボルトさんも説明して今日の研修は終了です。
学園生はこのまま馬車に乗って帰るけど、領地経営の参考にしてもらえればと思います。
「うーん、アレク様が一人いるだけで様々な状況が一変してしまう。やはり、最初からアレク様頼りは避けるようにしないと」
遠ざかる馬車を眺めながら、ボルトさんがポツリとそんなことを言っていた。
確かに特定の人に依存するのではなく、みんなができるようにしないといけないね。
ちなみに、この後は軍にならした土地の測量をしてもらうんだけど、一緒に見ていた軍人が「双翼の天使様ってとんでもないな……」って呆然としていました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます