八百四十九話 流石に疲れちゃった

 暫くして、担当者を尾行していたレイナさんが宰相執務室に戻ってきました。

 尾行結果を伝えようとしたけど、ちょっと微妙な表情をしていた。


「とある部屋に行ったんだけど、似たようなのが集まって傷のなめあいをしていたわ。話しているレベルが低レベルで、頭が痛くなったけど……」

「だろうな。でなければ、アレクに喧嘩を売ったり宰相が激怒する訳が無い」

「お父様が激怒? うーん、その時点でもう駄目な気がする……」


 レイナさんは、温厚な父親が怒ったのにとてもビックリしていた。

 ジンさんも、宰相が怒ったと聞いてポカーンとしていたもんね。


「悪ではないが、考え方がおかしい連中だ。注意しておくことにこしたことはないだろう」

「俺にも睨みをきかせていたし、変な奴ではあるな」

「念の為に、陛下にも連絡しておきますね」


 僕が通信用魔導具で陛下に連絡している間に、宰相やジンさんをはじめとした人たちがあーだこーだ話をしていました。

 そして、課長も様子を見ると言って自部署に帰っていきました。

 はあ、溜息をつきたくなる一件だったね。

 気持ちを切り替える為に、普通のお仕事を始めました。

 すると、様子を聞いていたシーラさんが動きました。


「ちょうど商務卿に渡す書類があるから、話を聞いてくるよ。久々に見た馬鹿だけど、国策に絡んでいるのは良くないね」

「お願いだから、穏便に頼むよ……」


 あの担当者は、喧嘩を売ってはいけない人を動かしてしまったみたいです。

 シーラさんは、書類を手に意気揚々と商務卿のところに向かいました。

 更に、別の人も動いていました。


 ガチャ。


「アレク君、凄いのに喧嘩を売られたって聞いたけど大丈夫?」

「お兄ちゃん、大丈夫なの?」

「アレク君お兄ちゃん、大丈夫?」


 執務室に、ティナおばあさまとリズ達が駆け込んできました。

 リズ達は、お昼寝から起きたミカエル達に勉強を教えていました。

 なので、あの担当者が来た時は宰相執務室にいません。

 ミカエル達は、サンディとイヨが面倒を見てくれています。


「まあ、悪者じゃないけど考え方が極端なのが気になります。あのツンツン頭と似ているところはあります」

「自分は頭が良いと勘違いしているのは良くないわね。しかも、今回は上の立場のものにも噛みついているから、その担当者の行動を注視しないとならないわ」


 ティナおばあさまも、その担当者は注意しないと言っていた。

 卒園式間近のこのタイミングで、問題のある職員が出てくるのは勘弁です。

 他にも似た思考の人がいるそうなので、調査を進めることになりました。


「お兄ちゃん、どんな感じだったの?」

「人の意見を聞かずに、自分の事ばっかり話していたよ。宰相が怒って止めたけどね」

「わあ、凄い人だね。リズも怒っちゃいそうだよ」

「エレノアもなの。うーん、凄いね」


 リズとエレノアも、僕の話を聞いてとってもビックリしていた。

 まずは、商務卿配下になるので商務卿が色々調べるそうです。

 はあ、何だか疲れちゃったよ。

 その日の夜は僕は直ぐに寝ちゃって、翌朝リズにちょっと文句を言われちゃいました。

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