転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

八百二十話 数多くの押収物

　その間に、リズ達は家の中にある不審物を探し始めました。

「あっ、変な魔導具を見つけたよ」

「武器も沢山出てきたの」

　どうやらこの小さな家にはドクターが使用するものがしまってあったらしく、次々と怪しい道具が見つかりました。

　更に、命令書みたいな紙も出てきています。

　この辺は、まとめて軍に送って鑑定待ちですね。

　僕は、ジンさんとティナおばあさまにさっきのドクターとの戦闘について話し合いました。

「ジンさん、ティナおばあさま、もしかしたらドクターは短距離転移魔法しか使えなかったのかもしれませんね」

「その可能性は高いだろう。しかも、かなり魔力を失っていた事を考えると、ドクターは元々魔力が少なかったのだろうな」

「身体能力強化は中々の腕前だったけど、やはりドクターは直接戦闘を苦手にしていたのでしょうね。何にせよ、たまたま運が良かったとはいえ闇ギルドナンバーズを捕まえられたのは良かったわ」

　二人ともさっきドクターと戦った時は、既にドクターは魔力が少なかったという結論だった。

　そして、やはりドクターは何かを作る方だとはっきりと分かるものが出てきた。

「あっ、変な薬が出てきたよ！　しかもいっぱいあるよ」

「こっちにもあるの。沢山だよ」

「やはり、ドクターは何かの薬を隠していたのか。どんな薬なのか、分析が必要だな」

　軍務卿はお宝探し班が見つけた怪しい薬を手に取り、苦い表情をしながら顎をしゃくっていました。

　直ぐに厳重な封印をした上で、王都郊外にある軍事施設にゲートを繋いで運びました。

　ここは軍務卿とジンさんとレイナさん達がいるので、僕とティナおばあさまは近衛騎士とポッキー達のところにむかいました。

　大きい家の方も、そろそろ制圧できたはずです。

「ぐはっ……」

「な、何でネズミがこんなに強いんだよ……」

「は、反則だ……」

「「うわぁ……」」

　大きな家に踏み込むと、床にボロボロになった如何にも盗賊風の身なりの汚い男達が転がっていた。

　男たちを鑑定するとバッチリと闇ギルドの構成員と出てきて、ジェリルさん達近衛騎士がせっせと拘束していた。

　更に沢山の金品と野菜などの物資が屋敷内にあり、ポッキーのアイテムボックスにしまってせっせと長距離転移で王城に運んでいた。

　そして、ちょっと不満げな表情をしているジェリルさんに状況を聞きました。

「この場にいる者は、全て制圧しました。というか、弱すぎでマジカルラットの魔法一発で吹き飛んでしまいました。私達は、制圧した者の拘束と物品の確認のみ行っております」

「あっ、だからこの闇ギルドの構成員はネズミが何とかって言っていたんですね」

「その通りになります。私達が戦っても、相当手加減しないと駄目でしょう」

　ジェリルさん達も初めて会った頃よりもとても強くなっているから、この程度のならず者では相手にならないでしょう。

　そして僕のところに順番にマジカルラット達がやってきて、褒めて褒めてって表情をしてきました。

　もちろん僕も、マジカルラット達の頭を撫で撫でしてあげます。

　マジカルラット部隊が、とっても頑張ったのは間違いないもんね。

「では、この後も宜しくね。応援部隊がやってきたら、私達も引き継ぎをして上がりましょう」

「「はっ」」

　ティナおばあさまの言葉に、ジェリルさんとランカーさんが敬礼しながら答えていました。

　この廃村は軍の厳重管理下に入るので、現在サギー伯爵領の出向機関にいる軍の一部が先行して村に向かっています。

　更に王都近郊の軍の施設からも兵を呼び寄せる事になっているので、今はその準備を待っています。

　いずれにせよ、僕達の奇襲作戦は成功ですね。