八百十八話 作戦会議
五分後、予定通りに準備を終えたリズ達が戻ってきたけど予想外のものまでやってきていた。
予定外のものは、庭に鎮座していました。
それを見たミカエルとブリットが、一目散に庭に駆け出していきました。
「「あー、クマちゃんだ!」」
「グルルル!」
ミカエルとブリットはクマのお腹に飛び込んでいって、クマもミカエルとブリットを優しく抱きしめていました。
「「「「「ヒヒーン!」」」」」
更に、庭にはポニさん達も待っていました。
しかしミカエルとブリットがクマちゃんに大興奮しているので、自分たちの存在をスルーされて抗議のいななきをしています。
恐らくスラちゃんが辺境伯領から連れてきたのだけど、屋敷の護衛としてはいささか過剰戦力な気もする。
弱いよりは全然良いので、このままにしておきましょう。
「辺境伯様、ニース侯爵、先々代夫人様、後は宜しくお願いします」
「うむ、任せておけ。どうやら、ポニーは交代で街の巡回に行くつもりみたいだよ」
「サギー男爵領は気にせずに、アレク君はアレク君の仕事を頑張ればいいぞ」
「拠点はサギー伯爵領にもかかるという。我々の尻拭いをしてもらい、大変申し訳ないのう」
偉い人三人組に後は任せて、僕達はスラちゃんのゲートで廃村に向かいます。
因みに、この三人とエマさんとオリビアさんで今後の事を話し合うそうです。
色々な事を任せちゃってるけど、みんななら心配いらないね。
僕達はみんなに手を振って、ゲートの中に入りました。
「ここが廃村、確かに一番大きな屋敷に複数の反応がありますね」
「スラちゃんも大きなお家が怪しいって言っているよ」
廃村に着いて直ぐに広域探索魔法を使ったけど、廃村なのに多数の反応があるのは確かにおかしい。
スラちゃんの偵察結果でも怪しいと出たらしいし、とにかく一番大きな家に向かわないと。
そう思ったら、リズが僕達にストップをかけた。
「うーん、大きなお家の手前にも誰かいるけど、そっちにいる人の方が強いかも?」
「えっと、リズちゃん何人いるか分かるかな?」
「二人だよ。あっ、この気配はドクターかも?」
「「「えっ!」」」
リズ独特の勘で、更に怪しい気配を感じたみたいだ。
もしかしたら、人数が多い家にいるのはおとりなのかもしれないぞ。
僕達は、お互いに顔を見合わせました。
「大きい家にいるのは三十人です。後は二つの反応以外は出てきません」
「なら、二人の方に全力投入した方が良いわね。こちらも精鋭部隊がいるし、マジカルラット部隊も大きな屋敷に投入しましょう」
直ぐに作戦は決まり、僕たちとそれ以外で戦力を分ける事になりました。
万が一強い人がいても、ポッキー達は滅茶苦茶強いからね。
「ということだ。お前らがこの近衛騎士や軍の精鋭を守れよ」
「「「キュッ!」」」
ジンさんがポッキー達に指示を出すと、ポッキー達は二本足で立って綺麗な敬礼をしていました。
とってもやる気に満ちていますね。
でも、そんな状況に満足できたい人が。
「あの、マジカルラットに私達が守られるって……」
「確かにポッキー達は強いですけど、それでは近衛騎士の沽券に関わりますわ」
「あはは、が、頑張りましょう」
逆に近衛騎士のジェリルさんとランカーさんが、マジカルラットには負けないと静かに闘志を燃やしていました。
そんな上司の姿に、同じ近衛騎士のノエルさんが苦笑を漏らしていました。
では、簡単な作戦内容を決めます。
「先にマジカルラット部隊が大きな家に入り、敵を混乱させます。その隙に私達が屋敷に入ります」
「じゃあ、ジェリルさんとランカーさん達が大きな家に突っ込んでから、僕達は手前の家に入りますね。スラちゃんとプリンは、手前の家に先に入って警戒をしてね」
「「「キュー」」」
作戦内容も決まり、それぞれが頷きました。
では、作戦開始です。
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