七百九十一話 ジンさんは子どもホイホイ
ここで、エリちゃんがジンさんのところにトコトコと歩いていきました。
「あー!」
「はいはい。抱っこですね、お姫様」
エリちゃんはジンさんに向けて両手を差し出したので、ジンさんもすかさずエリちゃんの事を抱っこしています。
近衛騎士も準備万端なので、みんなで帝国の皇城に向かいます。
「「リルムちゃん!」」
「リズちゃん、エレノアちゃん」
皇城について、直ぐに仲良し三人が再会を祝って抱きついています。
毎回だけど、本当に仲が良いよね。
そのまま、リルムが僕たちを応接室に案内します。
「おお、来たか。新年おめでとう」
「「「おめでとうございます」」」
応接室に入ると、皇帝陛下が僕たちを出迎えてくれました。
皇妃様とケイリさんも、それぞれの子どもを抱っこして出迎えてくれました。
双子ちゃんも、とっても大きくなってきましたね。
そんな双子ちゃんの興味は、一緒についてきた飛天虎の子どもに注がれていました。
「大っきい猫さんだ!」
「すごーい!」
たたたた。
直ぐにキャサリンちゃんとルイちゃんが、飛天虎のところに走っていきました。
とはいえ、頭や体を撫でている程度なので飛天虎の子どもも全く気にしていません。
「飛天虎か、中々凄い魔物を従えているな」
「従えているってよりかは、一緒に育ったってのが正解です。まだ赤ちゃんの状態で、闇組織から保護されましたから」
「そうか、それは良かったな」
ルカちゃんエドちゃんも混じって四人で飛天虎の事を撫でているけど、この子も保護された時は複雑な状況だったもんなあ。
いつの間にか、同じ赤ちゃんだったエリちゃんに懐いていたけど。
「それで、ジン殿はエリン王女の子守ですか。副宰相にもなられたのに、子どもに好かれるのは相変わらずですな」
「いやいや、副宰相も子守も大変ですよ。みんなやんちゃですし、貴族もやんちゃしていましたから」
「ははは、やんちゃな貴族がいるのは我が国とて同じだ。しかし、アンドリューも相変わらずジン殿の事が気に入っているな」
「「うにゅ?」」
そうです、アンドリューちゃんがいつの間にかケイリさんから離れてジンさんに抱っこされていました。
今のジンさんは、両膝が専有されている状態です。
そんなジンさんを見て、この二人が叫びだしました。
「あー、ずるいずるい!」
「エドも、ジンのところにいく!」
「「いくー!」」
「おい、まて、こら!」
ジンさんに抱っこされているエリちゃんに加えてアンドリューちゃんが羨ましくなったのか、飛天虎と遊んでいたルカちゃんエドちゃんがジンさんのところに突撃していきました。
更に、キャサリンちゃんとルイちゃんもジンさんのところに向かっていきました。
あっという間に、ジンさんは赤ちゃん子どもまみれになってしまいました。
「ふふふ、やはりジンさんは子どもに好かれますね」
「ええ、そうですわね。微笑ましい光景ですわ」
皇妃様とケイリさんも、赤ちゃん子どもまみれになっているジンさんを微笑ましく見ていました。
因みに、皇帝陛下とはルーカスお兄様とアイビー様とルーシーお姉様が、リルムとほぼ同年代組が仲良くお喋りをしていました。
その為、ジンさんの相手をできるのは僕しかいません。
「ねえ、ジンさんが潰れちゃうから離れないかな?」
「「「いやー!」」」
「あぶー!」
うん、何となく読めた展開でした。
ジンさんにまとわりつく子ども達は、全員がジンさんから離れるのを拒否しました。
「「「すー、すー」」」
「おーい、全員寝たからそろそろはがしてくれ……」
そして、僕たちが王国に帰る頃にはジンさんはようやく子ども達から解放されてヘロヘロになっていました。
でも、本当にジンさんは小さな子どもに好かれるよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます