七百八十三話 王都の五歳の祝いの始まり
子ども達が仲良くしている、そんな和やかな雰囲気をぶち壊す三家が登場しました。
申し合わせた様に、三家が揃ってパーティー会場に姿を現しました。
「ふん、なんだ出迎えも寄越さないのかよ」
「これだから、歴史の浅い貴族は使い物にならないんだよ」
「全く、しつけがなっていないな」
何だろう、この嫌味タラタラな太った男爵達は。
会場の雰囲気が、一気に嫌なものに変わってしまった。
一緒にいる子どもは大人しそうな感じだから、あの男爵三人がおかしいんだ。
しかも、夫人が一緒じゃないのが妙に気にかかるなあ。
このタイミングで、当初の予定通りカーセント公爵、グロスター侯爵のおじいさま、更にニース侯爵が動き始めました。
「ふむ、出迎えは儂らでは不満の様だな」
「そうですな。今日は子どもが主役ですから、多めに見ましょう」
「うむ、歴史ある貴族を出迎えるには、少し役不足でしょうがな」
「「「なっ」」」
おお、三人が極上の笑顔で男爵家を出迎えたよ。
何だか、極悪人登場って感じだ。
流石にこの迫力に押されて、男爵家は一瞬びっくりしたかと思ったけど素直に着いてきました。
「うーん、まだ待った方が良さそうだね」
「そうだね」
ミカエルとブリットは、男爵家の子ども三人に突撃するのを後回しにしました。
空気の読める子になっていますね。
「時に男爵よ、今宵は夫人は同伴じゃないのか?」
「この子は側室の子だ。儂がいれば十分だろう」
うーん、さりげなくニース侯爵が男爵夫人が同伴していない理由を聞いたけど、とんでもない理由だな。
恐らく、正妻と側室で対応の差をつけているんだろう。
その貴族家のやり方だから口出しはできないけど、何だかなあって思っちゃうね。
そしてそろそろ開始時間になるので、僕はアナウンスを始めます。
トラブルが起きる前に、さっさと始めた方が良さそうですね。
「皆様、静粛にお願いいたします。まもなく五歳の祝いを開始しますので、席に着くようお願いします。繰り返します、まもなく五歳の祝いを開始しますので、席に着いて下さい」
着席を促すアナウンスをしても、男爵の三家は一ヶ所に纏まって話を聞かないでいる。
おじいさまが促しても、全く話を聞かないよ。
ここで、僕が持っているマイク型魔導具を陛下がおもむろに取りました。
「うむ、何か勘違いしている者がおるな。歴史の長さなどどうでも良く、ルールに従わなければそれはただの我儘だ。我が国は法治国家であるからにして、ルールを守るのは大前提だ。ましては、今宵は五歳の子どもの成長を祝うパーティーだ。大人が率先してルールを守らなければならない」
陛下は、敢えて誰とは言わなかったけど大人がルールを守るべきと暗に男爵の三家に行っていた。
流石に陛下に言われたらどうしようもないので、男爵の三家はすごすごと用意されたテーブルに着きます。
他の人も、用意されたテーブルに座って行きます。
こうなったら、反論できないように一気に進行しちゃいましょう。
「それでは、これから五歳の祝いを開始します。王家の方々、並びに聖女カレン様とクロスロード子爵が入場します」
「「「おおー」」」
僕が入場者のアナウンスをすると、会場内からどよめきが起きました。
聖女様であるカレン様が五歳の祝いに参加するのは、事前に予告されていなかったからです。
初めてカレン様を見た子ども達は、思わずカレン様の美しい姿に見入っていました。
今日のカレン様は、聖女としてのローブを身に纏っていて、とっても神々しい姿です。
そして、同時に登場したジンさんにも子ども達の視線は釘付けです。
憧れの救国の勇者様であるジンさんを目の前にして、子どもたちのテンションは上がっているみたいですね。
ジンさんの衣装が派手って話もあったけど、煌びやかなパーティーだから全然目立ってはいません。
王妃様とアリア様とティナおばあさまもいつの間にか陛下のところにいて、ルーカスお兄様、ルーシーお兄様、エレノアに手を引かれたルカちゃんとエドちゃんもいます。
そして、僕も知らなかったんだけど、ベビーカーに乗せられたエリちゃんもやってきました。
もちろん、エリちゃんの傍には飛天虎の子どもが寄り添っています。
何だか、王家勢揃いになって凄い事になっているよ。
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