七百七十三話 段々と街もお祭りムードに

 段々と王都での五歳の祝いが近づく中、先に辺境伯領での五歳の祝いが行われます。

 街の人にとって、五歳の祝いは一種のお祭りです。

 なので、商店街も飾り付けをしていきます。


「おばちゃん、五歳の祝いは三日後だけど沢山飾りがついているね!」

「みんなが、子どもの成長を嬉しく思っているのよ。やっぱり子どもが大きくなるのは大変だからね」


 安息日なのでみんなで街の様子を見に行ったら、街中がジンさんの結婚式並みに飾り付けられていました。

 リズも商店街のおばちゃんに嬉しそうに話しかけていて、商店街のおばちゃんもリズに嬉しそうに話しかけていた。

 お祭好きの住民だから、こういう時のテンションの高さは流石です。

 続いて、教会に向かいます。


「教会も、とっても綺麗に飾ってあるよ!」

「教会にとっても、五歳の祝いは特別ですから。こうして、健やかに育っているのを神に報告するのは、とても大切な事です」


 教会内も、シスターさんが忙しそうに教会内の飾り付けをしていました。

 手伝いの人もいて、作業が急ピッチで行われていますね。

 この世界では子どもの生存率が悪いところがあるから、五歳を迎えるのは本当に大変です。

 辺境伯領では治療研究所を始めとする様々な治療の手があるから、生存率は他の領地よりもまだ良いほうです。

 大体のところを見終わったので、今度は僕の屋敷に戻ります。


「「「「ただいま」」」」

「「おかえりー!」」


 屋敷に戻ると、綺麗に着飾ったミカエルとブリットが僕たちのところにやってきました。

 五歳の祝いで着る衣装は、バッチリと準備できているみたいですね。

 流石に王都での五歳の祝いで着る謁見用の服ではないので、豪華な普段着って感じです。

 街を歩いてちょっと汗をかいたので、みんなで応接室に移動します。


「僕たちの五歳の祝いの時は、メイちゃんとリラちゃんが生まれたのもあるから、更に大騒ぎだったよね」

「そうだね。でも、みんなお祝いしていたもんね」

「「そーなんだ!」」

「「おー」」


 メイちゃんとリラちゃんも応接室にやってきて、ケンちゃんとレオンちゃんもお姉ちゃんに抱っこされながら応接室にいました。

 個人的には、どーんと構えている女性陣に対して辺境伯様がソワソワしていたのが印象的でした。


「お兄ちゃん、また子ども馬車で教会から辺境伯様のお屋敷に行くんだよね?」

「そうだよ。去年と同じく、ポニさん達が馬車を引くよ。警備は着くけど、ゲートは使わないよ」


 結婚式とかでちょくちょく子ども馬車を使っていたので、せっかくだからと子ども馬車を増産して使う事にしました。

 昨年試してみたら大好評だったので、今年も子ども馬車を使います。

 街の子供も、馬車に乗るのを楽しみにしているそうです。


「今年は、僕の庭まで使わなくても大丈夫だって。だから、全部辺境伯様のお屋敷で完結するよ」


 本当にたまたまというか、今年は僕たちの時に比べても子どもの数が少ないという。

 とはいっても、やる事は変わらないけどね。


「辺境伯様が挨拶をして、みんなでワイワイとお喋りしながらお料理を食べるだけだもんね。街のおばちゃん達は、いつもお喋りに夢中だけど」

「凄いよね。いつまでもお喋りが止まらないよね」


 そんな事を話しながら、僕たちは辺境伯様の屋敷の庭に目を向けました。

 今年の辺境伯様は良い感じに仕上がっているので、余裕でいつもの服が着れます。

 でも、運動をすると双子ちゃんに褒められるので、辺境伯様もやる気になっているそうです。

 まあ、間違いなく双子ちゃんの裏にイザベラ様がいると思うけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る