七百六十八話 役割分担決定

 昼食後、みんなで話し合った情報にジンさんの衣装の件で戻ってきた王妃様達に加えて宰相の意見も加味した当日の仮配役表が完成しました。

 なお、王妃様達はジンさんの衣装を巡ってとても良い話が出来たのか、かなり良い表情をしていました。

 衣装関係の話が、ある意味王妃様達のストレス発散になっていたんですね。

 さっそくアポを取って、内務卿のところに向かいます。

 リズ達だけでなく、宰相も一緒についていく事になりました。


「内務卿、お忙しいところまたお伺いして申し訳ございません」

「いえいえ、こうして勤勉なところがアレク殿下のとても良いところです。大抵の職員は、明日で良いだろうと考えるでしょう」


 内務卿と担当職員は、僕達を快く出迎えてくれた。

 確かに内務卿のいう通り、めんどくさいから明日でいいやって思う人は多いだろう。

 とはいえ、こういうのは直ぐに終わらせてしまった方が良いという思いもある。

 という事で、さっそく出来上がった配役表を内務卿に渡した。


「ふむふむ、まずは無難な配役となっておりますな。司会進行がアレク殿下で、会場のアテンドにリズ殿下、サンディ様、イヨ様、メアリ様。エレノア殿下は王族なので、陛下や王妃様と一緒に行動されますな」

「うう、ちょっと残念なの……」


 エレノアはちょっとではなくかなり残念な表情をしているけど、王家として行動するのは王妃様からも言われた事です。

 その代わりに、エレノアはルカちゃんとエドちゃんと一緒に行動する事になりました。


「あと、ジンさんが五歳の祝いに参加すると快諾頂きました。その、さっそく王妃様たちにどんな衣装にするか連れていかれましたが……」

「ははは。いやいや、気合を入れて頂き感謝ですな。子ども達もきっと喜ぶでしょう」


 この点に関しては、当日までどんな衣装ができるか分からない。

 でも王妃様達は、絶対に中途半端な衣装な衣装にはしてこないだろう。


「あと、リズ達の要望で上がったのは料理を小さくしたり事前にカットしたりして子どもが食べやすくして欲しいとありました。飲み物も、もう少しグラスを小さくした方が良いとの事です」

「ふむ、大人サイズで料理を配る事が多かったので、子どもには食べにくいところがありましたな。グラスの件も含めて、どうするか調整しましょう」


 僕達の場合はついていた侍従が食べやすいように切ってくれたけど、他の人はそうはいかない。

 内務卿と担当職員も、この要望は検討すると言ってくれた。


「ひとまず、お伝えしたい事はこんな感じです。また何かありましたら、改めてご連絡します」

「アレク殿下、皆様、貴重なご意見まで頂いてありがとうございます。それでは、内務側でも何かありましたらお伝えいたしますので」


 こうして、無事に五歳の祝いの内容を伝える事が出来た。

 そして、話はこの場にいるのに何もしていない宰相に移ります。


「宰相は、どうしてアレク殿下に同行しているのですか?」

「はあ、娘がうるさいのだよ。ちょうど時間が空いたので、アレク君ついていけとな」

「ははは、宰相も可愛い娘には叶わない様ですな」


 内務卿の問いかけに、宰相が溜息をついて答えていた。

 昼食時に、レイナさんが宰相に僕と一緒について行ってと言ったのです。

 レイナさんなりに、僕達の事を心配しているみたいです。


「僕から別件で内務卿にご連絡があります。ブランデー子爵領で発覚した謎の行商についてですが、各地で目撃されている様です。引き続き、ジンさんとスラちゃんに各地に行って調べて貰っています」

「色々と動いて頂き、アレク殿下には感謝しております。内務も軍と連携して情報精査を行なっております。また、ブランデー子爵がこの件を把握しているか引き続き尋問しております」


 各地で見つかっている謎の行商の件は、どこもとっても頭が痛いよね。

 ジンさんも聞き込みに大忙しだし、暫くはみんな忙しそうだよ。


「宰相は、少し暇そうですな」

「全然暇じゃないぞ。アレク君が次々と書類を回してきて、本当に大忙しだよ」

「「「ははは」」」


 僕としては、普通に仕事をしているだけなんだよね。

 宰相の心からの呟きに、みんなで笑っていました。

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