七百六十話 今後の対応について
「ここに隠し扉があります」
「あっ、本当にあった!」
そして、ムーアさんも一緒になってリズ達と一緒にあれやこれやを探しています。
時々リズ達がムーアさんも知らない物を見つけると、物凄く盛り上がっています。
「ふーん、屋敷の工事はまだ本格的に始まっていないんだ」
「古い建物だから、雨漏りとかを直すのが先決らしいわ。流石に外に建てている建物は、建設中止になるみたいよ」
僕はというと、エマさんとオリビアさんと一緒に違法建築の所を見ています。
幸いにして増築分は殆ど作られておらず、足場の建築が行われているだけでした。
雨漏りくらいなら内務部局に申請できずに出来るのに、違法建築までやっちゃうのは駄目だよ。
「元の屋敷より大きな屋敷を作って、出来たら元の屋敷を別用途で使う予定だったらしいな。河川氾濫対策のお金まで使って、豪華絢爛な建物にするつもりだったんだろう」
「歴史ある貴族に相応しい建物にする予定だったらしいわ。だったら、王城も建て直しを検討するわよ」
「キチンとした申請をすれば、何事もなかったのにね。歴史ある貴族だから、何をしても許されると思ったみたいね」
僕たちと一緒にジンさんと王妃様とルーシーお姉様も屋敷の外に出て違法建築を見ていたけど、歴史ある貴族なら何でもしていいという誤った考えでここまでしたと呆れていました。
正直な所爵位まで降格する様な罪じゃないけど、市民に税金を還付して当主強制交代して高額な罰金を納めるのが基本線だろう。
まあ、ブランデー子爵が王妃様を罵倒した罪も追加されるだろうね。
みんなでそんな事を思っていたら、軍務卿が僕たちの所にやってきました。
「王妃様、屋敷の使用人の確認も終わり、三割が拘束対象となりました。屋敷の運営には影響ありませんが、少々人数は多いかと」
「それはしょうがないかと。ムーア以外のブランデー子爵家の者が全て捕まっているのを考えると、むしろ少ないほうかと」
古臭い考え方に染まってしまった家臣もいる訳だし、そういう家臣が捕まった事はムーアさんにとっても良かったでしょう。
一旦執務室に集まって、閣僚も含めて話をする事に。
「まず確定事項として、ムーアが領主代理で統治を行う。屋敷に関しては、雨漏りなどの基礎的な工事は認めるが、それ以外は全てストップ。差し押さえにならない資金で、治水工事や農地改革などは行っても問題なしだ。ただ、税率や補助金は色々と検討しないとならない」
「はい、分かりました。色々と申し訳ありません」
「というか、正直なところムーアがいてくれて良かった。監視のために、当面は軍と役人を配置する。まあ、何かあっても王都から一日あれば着くからな」
内務卿がムーアさんに暫定処分を言い渡して、一旦決着です。
リズ達の宝探しもほぼ終わったけど、一番資金を回収したのが主人の部屋だったのはビックリです。
何でも、高額な宝石や金細工のアクセサリーが沢山出てきたらしい。
代々継承されてきた品物は、回収せずに領主代理のムーアさん預かりになります。
因みに、市民にも不正に関与した者がいたけど、重罪を犯した者は軍の駐屯地行きでその他はムーアさんが裁く事になります。
「じゃあ、私達は王城に戻るわ。今は大人しくして、確実な政務以外は手を出さない方が良いわ」
「はい、本当に色々とありがとうございます」
「「「ばいばーい!」」」
ブランデー子爵領駐留のメンバー以外を残して、僕たちは王城に戻ります。
ミカエル達ちびっこ軍団も、ムーアさんに手を振っていました。
ふう、何だか一日疲れたなぁ。
そんな事を思いながら王城に着き、それぞれ別れた後休憩しようと食堂に行くと、疲れ切っていたアリア様とティナおばあさまの姿がありました。
「何故私達がブランデー子爵に法律が何だと教える事になったのか……」
「自分たちがどんな罪を犯していたのか、全く理解していませんでしたわ……」
取り調べチームも、とんでもない事になっていたんだ。
二人がぐったりする理由に、僕たちも激しく同意していました。
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