六百五十話 卒園式当日の朝です
翌日はいよいよ卒園式当日です。
卒園式には僕とリズの他に、辺境伯様とイザベラ様が参加します。
僕とリズは、朝早く起きました。
「夜はパーティーだー!」
「楽しみだよ!」
ミカエルとブリットがくるくる回りながら喜んでいるけど、夜は辺境伯様の屋敷に皆で集まってエマさんとオリビアさんの卒園祝いのパーティーをやります。
今回は最初からパーティーをやるとミカエル達には言っていたので、卒園式に参加したいとは言いませんでした。
少しお兄ちゃんになって、我慢出来るようになったみたいですね。
「おう、俺等も準備できたぞ」
「ジンさん、宜しくお願いします」
「なに、今日は何か起きる可能性はかなり低い。久々に楽な仕事だよ」
ジンさん達も、念の為の卒園式の護衛について貰います。
強制的に執務官としてずっと仕事をしていたので、久々に楽な仕事だと言っていました。
確かに卒園式には、怪しいと思われている人はいません。
でも、入園式みたいに魔獣化した人が暴れる可能性もあるし、対策は万全にしないとね。
「ミカちゃん、行ってくるね」
「いってらっしゃーい!」
元気いっぱいのミカエルに見送られながら、僕達は王城にむかいました。
「では、後ほど会おう」
「お前らも頑張れよ」
辺境伯様とイザベラ様にジンさん達は、一足先に学園に向かいました。
学園には、軍の馬車で向かうそうです。
因みに、王都の辺境伯様の屋敷に住んでいるエマさんとオリビアさんは、既に馬車で学園に向かったそうです。
僕とリズは、ティナおばあさまの部屋で着替えをします。
来賓なので、それなりの格好をしないといけません。
「アレク君もリズちゃんも、また背が大きくなったわね。服のサイズを直さないといけないわ」
「おお、リズ大きくなったんだ!」
普通の人よりも成長が遅かったリズだったが、今や僕よりも身長が高くなっています。
うう、僕は未だに身長が低いままなんだよね。
ご飯もいっぱい食べているのに、何で身長が伸びないんだろうか。
僕は服を着て髪をセットすれば終わりだけど、リズはティアラとかも身に着けていました。
ティナおばあさまも、綺麗なドレスに着替えて準備万端です。
ガチャ。
「弟くん、リズちゃん、準備できた?」
「出来たよー!」
「わあ、リズちゃんお姫様みたい!」
ちょうど僕達が着替え終わった所で、卒園式に一緒に行くルーシーお姉様が部屋に入ってきた。
しかし、なんというか、リズは黙っていれば本当に美人なんだよなあ。
それに、ルーシーお姉様もリズも本物のお姫様なんですよ。
「ほらほら、準備が出来たら早速学園に行くわよ」
「「はーい」」
リズとルーシーお姉様だけではなくスラちゃんとプリンも手を上げて返事をしていたけど、これで僕達の準備は完了です。
「羨ましいの……お父様と一緒にお仕事するの、とっても嫌なの……」
「たはは……」
対して、卒園式に参加しないで陛下とお仕事になってしまったエレノアが、羨ましそうにドアの隙間から顔を覗かせていました。
こればっかりは、僕にはどうしようもないからなあ。
僕達が学園から王城に帰ってくるまでは、エレノアのお仕事が続くそうです。
「ほらほら、エレノアも着替えるわよ。今日は会議にも出るんですから」
「はーい……」
エレノアは、苦笑している王妃様によって自分の部屋に戻されていきました。
テンションが超下がっているエレノアは、王妃様の後をトボトボとついていきました。
そんなエレノアを見送りながら、僕達は学園に向かいました。
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