五百六十三話 明日は仮住居の建設をします
「面白かった!」
「また乗りたいね」
僕達は無事に出発地点に戻り、軍用船から下船しました。
リズとエレノアは乗船体験がとても楽しかったらしく、とても楽しそうに話をしています。
他の人も、初めての船の体験にとても喜んでいました。
普通は、軍用船に乗る事はできないもんね。
「いやあ、もっと大きい船にも乗りたいな」
「ルシちゃんらしいね。確かに大きい軍用船も就航予定らしいね」
ルシアさんが喜んでいるのは想定通りだけど、ククリさんもとっても良い笑顔です。
それだけ楽しかったみたいですね。
僕以外は……
「うーん、まだ波に揺られている気分です……」
「ははは、それは仕方ないな。初めて船に乗る奴には、そうなるのがいるからな」
僕はというと、ちょっと船に酔ってしまいました。
未だに平衡感覚が駄目で、ゆらゆらと揺れている感じです。
手と膝を地面につけていると、ジンさんが仕方ないと苦笑しながら背中をさすってくれました。
吐くことはないけど、ちょっと気持ち悪いのもあります。
スラちゃんが船をアイテムボックスに仕舞ってから、僕に回復魔法をかけてくれてだいぶ楽になりました。
気持ち悪くて、自分に回復魔法をかけられなかったもんなあ。
「もう一回、お船に乗りたいなあ!」
そしてリズよ、お兄ちゃんが船酔いで苦しんでいるのに放置するのは良くないぞ。
そんな事を思いながら、僕達はナイツ子爵邸に戻ってから王城に向かいました。
「簡易軍船の運用は問題ないか。試走出来たのも大きいし、早めに運用できるように調整しよう」
ケーヒル伯爵の報告を聞いた軍務卿が、満足げに頷いていました。
そして、軍務卿が僕に向き直りました。
「前にアレク君がナシュア子爵領で仮設住宅を土魔法で作ったが、今回は、庁舎が完成するまでは土魔法で作った仮設住宅を使用する事にした」
「となると、明日は仮設住宅の建設がメインになりますね」
「そうだな。軍の魔法使いも動員させるが、アレク君とスラちゃんの力も借りたい。あとは、ノエルもだな」
ノエルさんはナシュア子爵領での仮設住宅建設に携わっているし、勝手も分かるから大丈夫でしょう。
何よりも、早く軍を駐留させて監視業務を開始しないとね。
という事で、明日の予定は決定です。
「えー、お船に乗ったの? いーなー」
「ブリもお船に乗りたい!」
そして、午前中に帰ったミカエルとブリットは僕達が軍用船に乗った事に駄々をこねていました。
まあ、ミカエル達も船に乗りたいよね。
明日は実際に駐留する人が軍用船を試走させる予定なので、その時に乗せて貰いましょう。
僕は、暫く船に乗るのは勘弁ですけどね。
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